愛される学校づくり研究会

★このコラムでは、全国各地で教育の情報化に尽力されている皆さんへのインタビューを通して、情報化を推進するための肝について明らかにしていきます。情報化にかける思いや、予算獲得のポイントや学校現場での利活用率を高めるコツなど、様々な視点から語っていただきます。

【第5回】江戸川区編
 〜モデル校の校長として(その1)〜

*お答えいただくのは、江戸川区立小松川第三中学校長の金子雄治さん。質問者は愛知県教育委員会海部教育事務所の玉置崇さんです。

玉置  金子校長先生、はじめまして。

 第4回の「我が町の教育情報化奮戦記」では、江戸川区教育委員会の赤津先生に江戸川区内小中学校の情報化について紹介していただきました。
 全小中学校での通知表の電子化等の校務の情報化が短期間で進んだのは、「モデル校21校の校長先生方の理解と協力があったことを欠かすことができません」というお話を聞きました。金子先生は、その校長先生方の中でも、情報化推進に格別ご尽力いただいた方だとお聞きしました。
 そこで、お聞きします。モデル校の校長として、いろいろとご苦労されたことがあるかと思います。多くの自治体では江戸川区ほどの規模のモデル校はおきませんが、モデル校となると、管理職の在り方が特に問われると思うのです。こういう考え方でこのように校内の取り組みを進めたとか、教育委員会との連携をこのようにとったなど、数々のお取り組みを全国のモデル校の管理職のためにもお話しいただきたく思います。

金子  玉置先生、はじめまして。

 江戸川区は小学校73校中学校33校の計106校があり、平成22年度全校で通知表と指導要録の電子化を行うとのことで、平成21年度にモデル校を設置することになりました。当初は小中学校で10校ほどの規模で行う予定だったそうですが、21校がモデル校となりました。これは、全校電子化に向けての強い思いが区の教育委員会にあることを表しております。もともと区では、情報教育を推進させるための委員会があり、校長、副校長を含めた先生方でその年度の課題解決と次年度あるいは長期的な展望の作成にあたってきました。このような土台が、21校のモデル校設置につながったと思っています。

 校長として、モデル校を受けた時の本校の先生方の反応ですが、平成18年度から、授業改善の一端としてコンピュータを授業に活用する研究実践を行ってきた経過から、受け入れることは、さほど抵抗は無かったと感じられました。しかし、負担感が先生たちにあることも感じておりました。そこで、「平成22年度には、全校で、通知表の電子化を行わなければならないなら、モデル校を引き受けて、区内の先生方が使いやすいように改善することや早くから、通知表の電子化に取り組むことにより、校務の効率化が図れ、時間的な余裕が生まれ、その分生徒たちに関わる時間が増えます。」と話し、説得しました。

 まず区では、平成20年度末にモデル校の先生の代表(情報教育推進リーダー)の先行研修会を開いてくださいました。しかしながら、それだけでは不十分なので、平成21年度が始まってすぐにシステム会社の方に校内研修へ来ていただき、研修しました。一方、今までの通知表を電子化するにあたり、どこを修正するかを職員会議で検討しました。その結果、大きく変わった点は、学期ごとに通知表は作成し、家庭に配布し、回収はしないこととする。ただし、二学期には、一学期の記載も印字され、三学期には、一・二学期も印字されようにする。そのため、保護者からのコメントや検印をいただく用紙を別に配布し、これは、各学期に学校とご家庭を行き来することにしました。

 実際に通知表の作成が始まると、早い時期から、通知表記載のデータ入力ができることで、学期末の校務の集中化を分散できることが実感として、先生方が感じるようになりました。校内では、自然発生的に各学年の中で率先して実践してくださる先生が現れ、リーダーとなり、他の先生と情報交換をしながら、進めてくださいました。しかし、ソフトの改良点や改善点が多く出されてきました。その都度、業者にいろいろ質問や要望をぶつけていただきました。なかなか改善できない時は、校長が直接区に働きかけて区より強く改善をお願いいたしました。まだまだ改良点や改善点がありますが、通知表の完成を行うことができました。

 一学期の通知表完成までは、モデル校の連絡会があり、その都度出された問題点に区の教育推進課と指導室で誠実にシステム納入業者と連携を取っていただいたり、サポート体制をつくっていただいたりしました。この連絡会は、年度末まで継続されました。

玉置  なるほど。学ぶべき点がたくさんありますね。
 校長として近い将来の学校像を示し、我々が一歩先を行き、区の学校全体に貢献しようと職員に呼びかけられたこと、職員会議等を通して各先生方の声をしっかりと受け止められたこと、その声を大切にして、学校現場と教育行政(システム納入業者を含む)をしっかり結びつけるパイプ役を務められたことなどです。
 さらにお聞きしたいことができました。それは次回に。

(2010年10月25日)

我が町の情報化

●金子 雄治
(かねこ・ゆうじ)

昭和46年、技術科教諭として中学校教員生活スタート。昭和50年代後半よりCMI・CAIの研究・実践開始。技術・家庭科研究大会での発表多数。平成4年度より、教頭職、平成11年度より江戸川区立中学校長職就任。現在、校長職12年、3校目。

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

現在、愛知県教育委員会海部教育事務所長。校長、教頭時代に校務の情報化に邁進。文部科学省発行「教育の情報化に関する手引」(平成21年3月発行)の執筆者の一人。現在、「学校教育の情報化に関する懇談会」委員。
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