愛される学校づくり研究会

★授業における「ICT活用」とは縁のなかった小学校が、1年後にはすべてのクラスに実物投影機が入り、毎日使うようになりました。1年間に起こった事実をお伝えします。1年間で学校も、子どもも、保護者も、職員も、そして地域も変わるのです。

【第2回】極めて簡単に更新できるブログ型のホームページ

このサイトをご覧いただいている校長先生、新任として1日目の仕事は何だったでしょうか。挨拶回りに追われたかもしれませんね。
 1年半前(2008年4月)、私は新任校長として「津市立太郎生小学校」に赴任しました。4月1日、職員への挨拶を済ませた後、職員会議までにすることがあります。それは「太郎生小学校のホームページ」を立ち上げることです。
 私が考える学校のホームページはブログをアレンジしたスタイルしか考えられません。

gakkou_HP.gif

ブログというと、タレントのブログが話題になったり、携帯電話からのプロフが社会問題となるなど、悪いイメージがないわけではありません。しかし、要は使い方です。前任校では教頭としてブログ型のホームページを運用していました。全く問題はありません。保護者からは評判が良かったです。
 なぜ私がブログ型にこだわるのでしょうか。それは「使いやすい」ということに尽きます。学校は忙しいのです。ホームページの更新に1時間以上も費やすことは考えられません。平日はほぼ毎日、太郎生小学校のホームページを更新していますが、そのために使う時間は10分からせいぜい30分です。Web上でレイアウト画面から写真の枚数と大きさを決めた後、写真を選びます。つぎにタイトルと記事を書き、書き込みボタンをクリックするだけです。5分もかかりません。実践記録を載せたり、学校経営について書いたりするときは30分近くかけることもあります。
 ブログには無料のものも多くあります。しかし、教育用にアレンジした使いやすいものを私は利用しています。有料です。4月1日、私の一番の仕事はそのソフト会社に電話して、太郎生小学校のホームページデザインを依頼したことでした。数日後に担当者が来校され、正式に文書を交わしました。太郎生小学校のホームページが動き出したのは4月16日でした。入学式の10日後のことです。「太郎生小学校」で検索していただけます。

ブログ型ホームページの利点

(1)更新が極めて簡単
 5分でできる。その気になれば誰でもできる。私が勤務しているときにできた前任校のホームページはもちろんブログ型。私が異動した後も確実に更新されている(担当者が異動したら更新できないということはない)。リンクという操作は不要。
(2)保護者も見やすい
 学校は日々のニュースが多い。それを頻繁に伝えるには、サイトデザインが複雑なホームページは作る方もたいへんなだけではなく、見る保護者も面倒。どこに必要な情報があるのかがわかりにくい。ブログ型は単純に積み重ねてあるだけだから、スクロールをしたらいいだけ。
(3)公開前には管理職の承認機能がある
 太郎生小学校が採用しているブログ型は、「ネット承認機能」があります。職員が書き込んだ後、管理職がそれを見てから公開するということになっており、責任が明確です。
(4)いつでも、どこからでも更新可能(Web上で更新できる)
 Web上で更新できるため、自宅からでも更新ができます。夜、遅く更新する職員もいます(推奨しているわけではありませんが)。携帯からでも可能です。前回話題にした「全校児童の2泊3日の宿泊体験学習」では離島からのリアルタイムに近い更新が、保護者に安心を届けることになりました。私は無人島から携帯で送り、保護者は畑での仕事中にも何度も何度も携帯からチェックしたとのことです。

アナログでの発信も

ホームページというデジタルでの発信だけではなく、「学校便り」という印刷した文書での発信も重視しています。というのは、ネットアクセスは最近、増えつつあるとはいうものの100%の保護者が可能というわけではありません。太郎生小学校の場合、日常的にアクセスされている保護者は半数を超えたぐらいのようです。

たろうっこ

ホームページにアクセスしている保護者でも、「たろうっこ」という学校便りは印刷してあるので、見やすいというメリットがあるため、熱心な読者がいます。子どもが学校から帰ると、保護者がカバンを開けて「たろうっこ」を探すという話も聞きました。
 私が発行している学校便りには時候の挨拶は一切ありません。カットもありません。行事の案内もありません。それでも、発行回数は多いです。昨年度は150枚ほど。今年はほぼ毎日のペースです(9月で100号を超えた)。
 毎日出しているというと、「よく話題が尽きないなあ」とか、「一体何を書くのか」と思われるかもしれませんね。私に言わせると、月に1回や2回という少ない回数の方がよほどむずかしいです。何を書くのか迷います。特定の学級のことや特定の実践のことは話題にしにくくなりますから。月に一度、高邁な教育論を書くことの方が私にははるかに困難です。
 ところが毎日出すと言うことはとても気楽です。子どもの作文だって載せることができます。研究授業のことも。学校は毎日、いろんなことが起こります。そんなちょっとしたニュースを伝える手段として、「学校便り」を活用しています。保護者に連絡したいことは頻繁にありますよ。

 次回(11月2日公開予定)の第3回は、「学校便り」についてもう少し詳しく報告します。

(2009年10月19日)

中林校長

●中林則孝
(なかばやし・のりたか)

1951年生まれ。津市立太郎生(たろう)小学校校長。一輪車が小学校に普及し始めた頃、練習を継続すれば大半の児童が一輪車に乗れるようになることを知り、「練習量が、ある時、質に転化する」ことを実感する。その後、「デジタルとアナログの両面で子どもを鍛える」実践を進める。校長となった今も、担任時代のスタイルを踏襲し、補欠の授業に入れば子どもに作文を書かせ、それをほぼ毎日発行の「学校便り」に載せている。講演を聞きながらタイピングできるという特技を持つ。
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