愛される学校づくり研究会

★新任の先生のためのコラムです。3人のベテラン教師が、同じテーマについて語ります。
こんなことを聞いてもいいのかしら。聞いてみたいけれど、職員室では聞きにくい。面と向かっては、どうも恥ずかしい。・・・こうした新任の先生方の気持ちを察したテーマが並びます。

【第8回】新任のうちに読んでおきたい3冊の本

百瀬薫先生からの助言

1.『教えるということ』 大村はま 著 (共文社)
2.『愛で育てる算数数学の授業』 志水廣 著 (明治図書)
3.『築地久子の授業と学級づくり』 落合幸子 築地久子 著 (明治図書)
 たくさんの本の中から3冊を選ぶのは難しいことでした。
 『教えるということ』は昭和48年に第1版とあります。今読んでも尚新しく、いつ読んでも発見と感動があります。
 『愛で育てる算数数学の授業』は2007年初版です。この本の最初に「愛の現れ」という文章がありますが、それを読むといつもドキッとしてしまいます。子どもを愛する、子どもを看る、子どもを育てるとはどういうことか考えさせられます。
 『築地久子の授業と学級づくり』は、以前勤務した職場で研究主任が「こんな本を読んでいる。」と教えてくださった本です。授業の方法も刺激的ですが、子どもを理解するための心構えのようなものを感じます。何度読んでも面白いです。
 どの本も、学級作りのためのヒントや、子どもを 「愛する」ということ、教師としての自分の生き方を考えされられると思います。

●百瀬薫(ももせ・かほる)先生/信州大学を卒業後、2年間の中学校(国語科)での臨時採用期間を経て平成8年長野県に正式採用となる。以後、小学校2校、中学校1校を経験し、平成19年度に、ベルギー王国ブラッセル日本人学校中学部(国語科)へ文部科学省より派遣。自分探しの旅を続ける。趣味は読書と写真撮影。「縁」を大切にしたいと願う生活のなかで得た人脈は、本人を支える大きな力となっている。

 

野田和弥先生からの助言

1.『子どもは授業で鍛える[増補新版]』 野口芳宏 著 (明治図書)
 旧版の「授業で鍛える」(1986年初版)は野口芳宏先生の授業技術に関する本の中で最も多く読まれている一冊で、それを新しく増補版として出版した本で、国語力を高める鍛え方を中心にわかりやすく書かれている。

2.『子どもを見る目の鍛え方入門−子どもの味方がうまくなる十二章−』 有田和正 著 (明治図書)
 有田和正先生が若い先生に向けて書いた2冊目の本である。
 子どもの本当の姿が見えるようになる「コツ」が12章に分けられて書かれている。

3.『教師力を磨く 若手教師が伸びる「10」のすすめ』 仲島正教 著 (大修館書店)
 著者は2005年3月末48歳で退職。現在、教育サポーターとして若手教師パワーアップセミナー『元気が一番』塾主宰。「教師力」とは「子どもを躍動させる力」ととらえ、「子どもを躍動させる」ためにはどうすればいいのかがわかり、元気が出てくる本です。

●野田和弥(のだ・かずや)先生/昭和59年、教員生活スタート。小学校に6年、中学校に13年、再び小学校に戻り6年目。専門は数学。座右の銘は「教育とは人生のタネ蒔きをすることなり」。本年度より、校内の特別支援教育コーディネーターを務める。現在、月刊誌「楽しい算数の授業(明治図書)の授業力UP!今月の授業と発問」の編集を担当。教師力アップセミナー運営委員。

 

伊藤彰敏先生からの助言

1.『教えるということ』 大村はま 著 (ちくま学芸文庫)
 「一生懸命教えてやれば子どもはできるようになる、なんて思ったらよほど甘い。」
 「静かにしなさい!」「わかりましたか?」という言葉は、教師の禁句であり、「『研究』をしない先生は、『先生』ではない」と、大村は言い切ります。
 教えるということの厳しさを突きつけられます。
 P.154-157の「仏様の指」だけでも読んでおきたい本です。

2.『教師修業十年』 向山洋一 著 (明治図書)
 「年をとった教師が必ずしも腕の良い教師ではない」。これも厳しさを教えてくれる本です。
 「アマの力は器用さであり、プロの力は技術なのである」と向山は言います。プロになるには、修業の時期があるのです。
 P.74とP.99の向山の姿と言葉は、心に刻みつけておきたいと思います。

3.『教師のためのソーシャル・スキル』 河村茂雄 著 (誠信書房)
 自分が受けてきた指導を、目の前の児童生徒にそのまま行うという時代は終わったように思います。
 子どもとの接し方には、確かに不易の部分があります。しかし、今の子どもには、今の接し方、指導の仕方があるようです。今の子ども、そして、今の自分自身をつかむために、本書は示唆を与えてくれます。 コミュニケーションを確立するための本です。
 P.27-50の「教師の力とは」だけでも読んでおく価値があります。

●伊藤 彰敏(いとう・あきとし)先生/平成20年から一宮市立大和南中学校に勤務。中学校教員として27年目。「論」のある国語科の授業をめざしている。

(2008年6月2日)

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新任の先生のためのコラムです。
元気になれるコラムです。
3人のベテラン教師が、同じテーマについて語ります。

こんなことを聞いてもいいのかしら。
聞いてみたいけれど、職員室では聞きにくい。
面と向かっては、どうも恥ずかしい。
こうした新任の先生方の気持ちを察して、「そうそう、こういうことが聞きたかったのです!」というテーマが並びます。

3人の意見が一致するときも、反対になるときもありますが、正解は一つだけではないということ。
ベテラン教師の語りをもとに、あなた自身が考えることが大切なのです。