愛される学校づくり研究会

★ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。校長、教頭、教務主任、校務主任などを経験された先生方に学校経営上のちょっとしたアイデアを紹介していただきます。今回は…

【第14回】永井 聡 先生

《知恵30》 机は優秀な秘書である

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生徒が入ってくる。職員から連絡や相談がある。電話が入る。来客がある。転入等に関するお尋ねがある。教頭として、職員室の応対は様々で、素早い判断や正確な指示が必要な場合が多い。このとき、情報が目に入るようにしてあると、うまく進めることができる。
 そこで、下のように、机と透明なガラスの間にプリントを配置し、確認ができるようにしたり、即座に答えられるようにしたりしている。だれでもやっていることであるが、どう整理して配置するかが、優秀な秘書となるかどうかの分かれ目である。なお、生徒や業者等出入りをし、目にふれる場合もあるため、個人情報には十分配慮をする必要がある。

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先日、生徒から「○○先生どこに見えますか」とたずねられたときに、場所を伝えることができなかった反省を生かし、清掃区域と職員配置の一覧表をはさむことにした。朝の職員の動きが把握しにくい時間、週番活動の表もあるといいと思って追加した。これにより、日ごろ必要な情報が見えてきて、その正確性を期すため、日々更新の必要性を感じるようになった。また、生徒や職員と信頼を築く大きな一助になっている。
 

《知恵31》 書類に前年度の担当者を書き入れる

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たくさんの書類が役所から送られてくる。校長、教頭、教務主任、校務主任と回覧をする。その後、校務分掌上の担当の先生へと書類が渡る。そのときに、よくあるのが、「前は誰が担当していましたか」という質問である。それも、年度末、年度始のあわただしい時期に多く、調べる時間が惜しいと思うことがある。

そこで、最近は、書類の担当者の欄に、本年度の担当者の名前を書くとともに、前年度の校務分掌表を手元に置き、確認しながら、前年度の担当者の名前を書くように努めている。

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このことにより、こちらへの質問が減り、書類作成もスムーズに進めることができるようになってきている。また、前年度の担当者にたずねる姿が多くなり、職員同士の会話を生むきっかけともなっている。
 さて、年度末を迎えると、先生の転任により、書類がどこかに行ってしまうことがあり、年度当初に、役所から「書類が出ていない」との請求にあわてることがある。これをなくすために、本年度の担当者の名前とともに、次年度の担当者の欄を書き、「名前を書いて引き継ぐように」をメモ書きしようと思っている。
 

《知恵32》 写したその場で写真をつくる

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本校は、県外から、地域からと人の出入りの多い学校である。また、再び顔を会わせることもよくある。そのとき、「今の人は誰だった」ではすまされないことも生じる。そのため、記念撮影と称して写真を記録し、見返すこともある。
 あるときに、県外からの視察のあった後、職員が「写真を送るのが面倒」と言った言葉をきっかけに、「ならば、その場でつくればいいのでは」となり、来校時に写真を撮り、学校を離れるときに写真をお渡しすることを行うようになった。来校者に大変喜ばれ、その後、対応ができるときは行うことを心がけるようにしている。

準備は、デジタルカメラとカードリーダー、パソコン、プリンタ、写真用紙で、校内のコンピュータ環境が整っていれば、十分に対応できることである。
 職員は、応対する職員以外に最低限一人いれば、接待している間に、撮影から作成、そして完成までできるので事前に確認しておけばできる内容である。

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最近では、卒業式に出席できなかった生徒に、応接室等で卒業証書を授与するときや他校への転出時のお別れ会の記念撮影等に活用している。現代の機器を活用した人の心に残るいいアイデアであると思っている。

(2009年1月19日)

知恵袋

●永井 聡
(ながい・さとし)

数学を専門とし、昭和58年4月、名古屋市港区宝神中学校で教員生活をスタート。以後、同市内公立中学校勤務である。平成4年より5年間、愛知教育大学附属名古屋中学校で指導にあたり、19年4月より千種区城山中学校で教頭。仕事を楽しむ中、数学的深まりある教材との出会いを喜びとし、数学各種研究会への参加を心がけている。合唱経験があり、子どもたちと唱うことも楽しみの一つ。