愛される学校づくり研究会

★ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。校長、教頭、教務主任、校務主任などを経験された先生方に学校経営上のちょっとしたアイデアを紹介していただきます。今回は…

【第8回】永井 聡 先生

《知恵15》 事後指導を充実する

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行事があると当日までは準備と本番に熱が入る。生徒指導も発生時の対応は一生懸命行う。ところが、事後の指導は、おろそかになったり、忘れがちだったりする。また、教頭として報告を受けなかったり、確認を漏らしたりする。そこで、これらを防ぐために、書類やダイアリーに次のようなチェック欄を設ける。これにより、事後の処理や確認等がスムーズに進むことが多い。

1週間後  月  日(  ) 項目 「                」 チェック□
1ヶ月後   月  日(  ) 項目 「                」 チェック□

<記入例>
1月11日(金) 生徒Aと生徒Bのけんかによる生徒Bの負傷
1週間後 1月18日(金) 項目 「Bの怪我の治り具合把握 本人を観察する」 チェック□
1ヶ月後  2月11日(火) 項目 「保護者からの話の有無 担任にたずねる」  チェック□

このようなチェック欄を設けることにより、職員の仕事の進み具合の把握や指示、生徒や保護者への事後の声かけが行われているかどうか確認することができる。もちろん、チェック欄にこだわることなく、日ごろの働きかけや確認は必要である。
 

《知恵16》 城中NAVIで保護者とつながる

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生徒、保護者、教職員間で共通理解を図りたい。生徒が中学校生活を送る際の道案内をしたい。学校の「ありのままの姿」を伝えることで安心や信頼が生まれるようにしたい。このような思いから、各教科・領域の学習の仕方や各種手続き、定期的な配付物等を束ねた城中NAVI(冊子)を年度当初に発行している。

<発行までの流れ>

1学期 アンケート(生徒、保護者、職員)
2学期 編集委員会(PTA役員、委員中心)
3学期 原稿作成 初稿(職員)→検討(係)→二稿(職員)
4 月 印刷・発行(毎年配付)

多くの学校は、その都度、必要な情報を文書として発行している。冊子として、発行したことで、それまでは、ばらばらの情報であったものが、同時にいくつかの文書に目を通すことができて、学校の取組につながりが見えてきたという感想がある。また、学校への質問も漠然としたものからNAVIの内容を踏まえたものに変わってきたりしている。また、文書印刷配付事務の減少や生徒手帳のスリム化などの効果も表れている。
 現在、もっと細かいところを知りたいという要望に応えたり、教育用語の多用を控えるなどの課題を克服するよう努めている。
 

《知恵17》 PTA年間行事予定表の作成で保護者の動きスムーズに

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職員にとっては、行事は毎年行われるものであり、いつごろ何をやればいいかをだいたい把握している。
 ところが、保護者は、何もかもが初めてであり、知らなかったり、戸惑ったりすることが多い。ときには、学校側の一方的な計画により、連日来校していただくことが起こったりすることがある。
 そこで、PTAの年間行事予定表を作成することにより、行事の時期や配付文書の時期などが把握でき、保護者の方の仕事や家庭の都合と調整がしやすくなるようにしている。年間行事予定表は、PTAの役員と日程調整をしていたときに生まれたアイデアである。
 盛り込む内容は、月、日、曜日、学校行事、PTA行事、前年度の同時期の行事としている。これを前年度につくることにより、教務主任がつくる年間行事予定との調整ができ、保護者の参加がしやすい予定を立てることができている。

9月 学校行事 PTA行事 前年度
1日(月) 始業式 役員会3打合せ 副会長 市バ
2日(火)      
3日(水)   (PTAコーラス申込) コ申
4日(木) 作品展準備 役員会3実行委員会3  
5日(金) 作品展 受付 役員 リサイクル 学年  
6日(土) 作品展 受付 学年申込受付 文教 母女

(2008年5月26日)

知恵袋

●永井 聡
(ながい・さとし)

数学を専門とし、昭和58年4月、名古屋市港区宝神中学校で教員生活をスタート。以後、同市内公立中学校勤務である。平成4年より5年間、愛知教育大学附属名古屋中学校で指導にあたり、19年4月より千種区城山中学校で教頭。仕事を楽しむ中、数学的深まりある教材との出会いを喜びとし、数学各種研究会への参加を心がけている。合唱経験があり、子どもたちと唱うことも楽しみの一つ。