愛される学校づくり研究会

★このコラムは、ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。先輩教師として若い先生方に、「こんなことをしたらうまくいかなかった」といった失敗談を語っていただきます。

【第45回】佐々木雅彦 先生
 「バランス感覚と気づき」

若い時は、どうしても、目先のことに一生懸命になりすぎて努力が偏ってしまうものです。私も、新任の時は、「学習」よりも「楽しい学級づくり」が大切だと考え、いろいろなイベントに取り組んでいました。子どもたちは楽しそうにしていましたが、1年を終えた時、ある女子が、「先生のクラスでは、学力がつかなかった。」という意味のことをつぶやいたのです。

 2年目からは、一転、学習に力を入れるようになりました。授業研究やノート指導にも必死で取り組んだのはこの時期です。しかし、この時学年主任の先生から次の様なお叱りをいただきました。
 「君は、自分の学級のことしか考えていない。もっと、周りを見るように。」

 確かに、自分は、他のクラスのことを見る余裕がありませんでした。また、学年行事の時に、自分から動こうとしない部分が多々ありました。例えば、

  • 遠足のトイレ休憩の時に、一番最後の児童を確認しに行かないで、ベンチで児童と話に夢中になっている。
  • 運動会の時、演技指導を自分のクラスだけ行っている。
  • 他の学級の先生が作業に取り組んでいるのに、言われるまで気づかない。

以来、自分に足りないのは、「バランス感覚と気づき」だと言い聞かせてきました。

 教員の仕事は、多岐にわたっています。だからと言って、その一部だけに気持ちが入りすぎると、他の部分が疎かになりがちです。他の教師と連絡を取り合ってバランスよく取り組むことが大切だと思います。

 新任以外の教師は、よほどのことがないと、先輩教師から指導をされないものです。したがって、私たちは、自分から、「今の自分の働きでよいか」「周りのためにするべきことがあるのではないか。」と神経を働かせていないと独りよがりになってしまったり、やらなくてはならない仕事をやらずにすぎてしまうことがあります。今やるべきことを「自ら気づく」教師をめざして努力していきたいですね。
 

(2011年6月27日)

失敗から学ぶ

●佐々木雅彦
(ささき・まさひこ)

昭和60年教員となる。以来、中島(講師)、岡崎、一宮、木曽川(一宮市に合併後)の4地区で勤務。小学校2年生から中学校3年生までの担任の経験を持つ。新任から5年間を岡崎で過ごし、授業研究や研究論文に必死で取り組んだことが、校務主任になった今役に立っている。