愛される学校づくり研究会

★このコラムは、ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。先輩教師として若い先生方に、「こんなことをしたらうまくいかなかった」といった失敗談を語っていただきます。

【第19回】小林 美記代 先生
「『学ぶ』気持ちをいつも持ち続けましょう!」

若い頃の私は、相当、生意気であったと、反省しています。先輩の先生方の授業を、いつも批判的な目でみていました。

 例えば、野球部の顧問をしていらして、頑固親父というイメージで、あだ名も「貫太郎」(その頃、テレビドラマで寺内貫太郎一家というのがあって、小林亜星さん演じる主人公に体型もしゃべりかたもそっくりだったのです。)という数学の先生がいらっしゃいました。
 授業の開始は、まさしく野球の試合の開始と同じ、全員、気をつけ姿勢で大きな声で「おねがいします!」とあいさつしていました。終了時はもちろん「ありがとうございました!」というあいさつでした。授業中の生徒は、とても緊張している様子でした。「先生の授業はこわい雰囲気ですね。」と言ったことがあります。そうすると、その先生は「授業は野球の試合と同じだ。真剣勝負でボールを追っているからな。」と言われました。意味がわからず、生徒を威圧した授業なんて、数学嫌いを増やすだけだと思っていました。
 その頃の私は「授業は、みんなでわいわい、意見を交換して楽しくやる」ものだと思っていました。「生徒がなんでも言える雰囲気がいい授業だ」と思っていたのです。しかし、今、振り返ると、私の授業は、生徒の意見発表は多かったと思いますが、みんなが好きなことを言っているだけのおしゃべりタイムと同じでした。「真剣」という雰囲気がなかったです。その先生の授業は、生徒の考えを真剣に受け止め、ひとつひとつきちんと返していらした、すごい授業だったんだなあと、あとになって気が付きました。

 また、新任のときの学年主任は、数学の先生でした。研究熱心な先生でいろいろなことを教えてくださいましたが、余裕のなかった私は、その先生からいただいたアドバイスをほとんど無視していたように思います。自分で考えた授業が、自分にあっている一番いい授業だと思っていたのかもしれません。もっと「学んで」おけばよかったと反省しきりです。もったいないことをしました。「まねる」ことも大切です。

 生徒の成長をのぞむように、私たち教員もいつも学び続けていなければいけないと思います。批判的にみていては、学ぶことはできません。「すごいなあ」というところが必ずあります。「いいとこ見つけ」の目を鋭くして、学ぶ姿勢を持ち続けたいです。

(2008年6月23日)

失敗から学ぶ

●小林美記代
(こばやし・みきよ)

中学校数学教員歴、30年とちょっと。学生時代はバドミントンをやっていたが、部活動でその指導はできず、テニス・剣道・陸上・弓道・バレー・ソフト・柔道・水泳部等々のサブ顧問をさせてもらったおかげでスポーツに関する知識をたくさん得ることができた。おもしろそうだなあと思うと、何にでも手を出し、どこへでも出かけてしまうので、後悔することも多い。