モラルBOX開設に当たって

情報化や国際化をはじめとする変化の激しい現代社会において、子どもたちの自然な道徳性の発達を阻害している現象が多く指摘され、自制心や規範意識の低下など子どもたちの心の成長に関わる課題は少なくありません。こうした状況から、子ども自らが学ぶ意思や意欲をもち、自らを律しつつ自己責任を果たし、社会や公共のために何をなしえるかを考えることができるよう、豊かな心の育成が求められています。

また、学習指導要領改訂における教育内容の主な改善事項の一つに「道徳教育の充実」が掲げられ、各学校では道徳の時間を要とし、全教師が一体となって道徳教育を推進していく必要性が示されました。

一方、子どもたちの豊かな心の育成のためには家庭・地域・学校の連携は不可欠です。家庭や地域社会は、子どもたちにとって生活の基盤であり、子どもたちの道徳性の発達に直接的な影響を与えます。家庭・地域・学校が、積極的に相互理解を深め、協力体制を築いて道徳教育を進めていく必要があります。

そこで、愛知県教育委員会では、学校における道徳教育の推進と、家庭・地域・学校が連携して子どもの豊かな心を育てる体制づくりを目指して、道徳教育総合推進サイト「モラルBOX」を開設しました。

本サイトでは、各学校で道徳教育を充実させるための資料やすぐに使える実践事例が掲載してあります。例えば「道徳の時間支援コーナー」では、道徳の時間の指導案を学年別、内容項目別に紹介し、各学校でダウンロードして、活用することができます。道徳の時間の指導に迷ったり、悩んだりしたときは、まずこのコーナーを訪れてください。

また、家庭・地域・学校の連携のためには、それぞれの立場における教育の特質や関連性を理解し合う必要があります。そのためのコーナーとして「愛知の取組」、「愛知県教委の取組」、「市町村教委の取組」があります。その中の「愛知の取組」には、愛知県の全小・中学校が「心の教育推進活動」(家庭・地域との連携に基づく活動)、「情報モラル教育実践」、「ちょっといい話」(日常生活で出会った心温まる話)を掲載します。学校における道徳教育へ御理解をいただき、子どもたちの豊かな心を育むための家庭・地域・学校の協働体制づくりのため、学校だけでなく家庭・地域の方に利用していただきたいと思います。

なお、平成21年度に開設した情報モラル教育支援サイト「i−モラル」は、現在、1日平均700前後のアクセスがあり、ネットの利便性を生かしたこの試みは、家庭・地域・学校における情報モラル教育の推進に大きく貢献しています。今後はこの「i−モラル」を本サイトに含め、道徳教育の総合推進サイトとして「モラルBOX」を運営していきたいと思います。

子どもたちの豊かな心を育むために、多くの方が本サイトを訪れ、学校における道徳教育の推進と家庭・地域・学校が連携し社会全体で子どもを育てる体制づくりに役立てていただくことを願っています。