「特別の教科 道徳」を学ぶ  ※このコーナーは、学習指導要領、学習指導要領解説(特別の教科 道徳編)等を基に掲載しております。

道徳科における質の高い多様な指導方法 その3〜道徳的行為に関する体験的な学習〜

 道徳的行為に関する体験的な学習では、役割演技などの疑似体験的な表現活動を通して、道徳的諸価値の理解を深め、様々な課題や問題を主体的に解決するために必要な資質・能力を養うことをねらいとしています。

 道徳的行為に関する体験的な学習では、道徳的な問題場面の把握や考察なども大切にしながら、次のような授業展開が考えられます。
○ペアやグループをつくり、実際の問題場面を役割演技で再現し、登場人物の葛藤などを理解する。
○実際に問題場面を設定し、道徳的行為を体験し、その行為をすることの難しさなどを理解する。

 例えば、実際に挨拶や丁寧な言葉遣いなど具体的な道徳的行為をして、礼儀のよさや作法の難しさなどを考えたり、相手に思いやりのある言葉を掛けたり、手助けをして親切についての考えを深めたりするような道徳的行為に関する体験的な学習を取り入れることが考えられます。
 さらに、読み物教材等を活用した場合には、その教材に登場する人物等の言動を即興的に演技して考える役割演技など疑似体験的な表現活動を取り入れることも考えられます。
 これらの方法を活用する場合は、単に体験的行為や活動そのものを目的として行うのではなく、授業の中に適切に取り入れ、体験的行為や活動を通じて学んだ内容から道徳的諸価値の意義などについて考えを深めるようにすることが重要です。

道徳科における質の高い多様な指導方法 その2 〜問題解決的な学習〜

 道徳科における問題解決的な学習とは、児童生徒一人一人が、これから生きる上で出会う様々な道徳上の問題や課題を多面的・多角的に考え、主体的に判断し、よりよく生きていくための資質・能力を養うことをねらいとしています。

 道徳科における問題解決的な学習では、問題場面について、児童生徒自身の考えの根拠を問う発問や、問題場面を実際の自分に当てはめて考えてみることを促す発問、問題場面における道徳的価値の意味を考えさせる発問など発問を工夫することが大切です。
 具体的な発問例
○ここでは、何が問題になっているのでしょうか。
○何と何で迷っているのでしようか。
○なぜ、■■(道徳的諸価値)は、大切なのでしょうか。
○どうすれば、■■(道徳的諸価値)が実現できると思いますか。
○同じような場面に出会ったら、あなたならどのように行動しますか。
○よりよい解決方法には、どのようなものが考えられるでしょうか。など

 児童生徒が問題意識をもって学習に臨み、ねらいとする道徳的価値を追求し、多様な感じ方や考え方によって学ぶことができるようにするためには、指導方法の工夫も必要となってきます。
 例えば、主題に対する児童生徒の興味や関心を高める導入の工夫、他者の考えと比べ自分の考えを深める展開の工夫、主題を自分との関わりで捉え自己を見つめ直し、発展させていくことへの希望がもてるような終末の工夫などがあります。
 
 次回は、「道徳的行為に関する体験的な学習」について掲載します。

道徳科における質の高い多様な指導方法 その1 〜読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習〜

 「読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習」とは、教材を読んで、登場人物の判断や心情を類推することを通して、道徳的価値を自分との関わりで考えることを柱とした学習のことです。
 この学習では、登場人物に自分を投影して、教材の登場人物の判断や心情を自分との関わりにおいて多面的・多角的に考えることなどを通して、道徳的諸価値の理解を深めることをねらいとしています。

 この学習で、多様な考えを引き出す発問例としては、
○どうして主人公は、○○という行動に取り組めたのだろう(又は取り組めなかったのだろう)。
○主人公はどういう思いをもって△△という判断をしたのだろう。
○自分だったら主人公のように考え、行動することができるだろうか。 など

 いずれの発問も、自分と比較して考えることで自我関与が可能になる発問です。子供が読み物教材の登場人物に託して自分の考えや気持ちを素直に語る中で、道徳的価値の理解を図る指導方法として効果的なものです。

次回は、「問題解決的な学習」について掲載します。

道徳科の授業の質的な転換が求められています 〜多様な指導方法を取り入れましょう〜

 平成30年4月から、小学校では道徳科が始まりました。各学校では、道徳教育の全体計画の別葉や年間指導計画に基づいた授業実践が行われていることと思います。
 道徳科の実施に当たっては、授業の質的な転換を図るために、学習指導過程や指導方法の工夫が求められています。具体的には、子供自身が自分の問題として道徳的諸価値を考える主体的・対話的で深い学びを実現するために、指導者が道徳科でねらっていることをしっかりととらえることがより重要になります。そのポイントは、次の二点です。
○道徳科の学習では、授業の質的な転換を図るために、指導者は目標を理解し、子供が道徳的諸価値の理解を基に、多面的・多角的に考えるための多様な指導方法を意図的に取り入れていくこと。
○道徳科の授業展開としては、年間指導計画上の工夫、単位時間内での工夫など様々な工夫が考えられるため、学校の実態、子供の実態を踏まえた上で、主題やねらいに応じ、適切に教材を選択していくこと。

 つまり、道徳科の授業においては、子供の問題意識を大切にした主体的な学習となるよう配慮することが肝要です。そのための指導方法は様々ですが、指導方法については、次の例示を参考にするとよいでしょう。
 1 読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習
 2 問題解決的な学習
 3 道徳的行為に関する体験的な学習
(H28.7.22「道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議」)

 これらの学習を取り入れることで、道徳的諸価値に関わる問題について、多様な他者と共に考え、議論する中で、多面的・多角的な見方へと発展し、道徳的諸価値の理解を自分自身との関わりで深めることが可能になると期待されています。
 これら一つ一つの指導方法には、独立した指導の「型」があるわけではなく、また、はっきりと区別して指導できるものでもなく、柔軟な発想の下に授業が構想されることが望まれています。

 次回は、「読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習」について掲載します。