「特別の教科 道徳」を学ぶ  ※このコーナーは、学習指導要領、学習指導要領解説(特別の教科 道徳編)及び学校現場の実践等を基に掲載しております。

6月1日(木) 「特別の教科 道徳」全面実施に向けて

 平成27年3月27日、学校教育法施行規則一部改正により、現行の学習指導要領の道徳を「特別の教科 道徳」と位置付け、小学校では平成30年4月、中学校では平成31年4月から全面実施されることとなりました。ここで、改めて改訂のポイントを確認したいと思います。
(1)「道徳の時間」を「特別の教科」としての道徳科とすること
(2)道徳科の目標を「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」として、学校教育全体を通じて行う道徳教育の目標と同一であることが分かりやすい表現にすること
(3)道徳教育の内容を小学校から中学校までの発達の段階を踏まえた体系性を高めたものとし、構成やねらいを分かりやすく示すこと
(4)児童生徒の発達の段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、多様な指導方法を工夫すること
(5)道徳科の指導に検定教科書を導入すること
(6)「児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し指導に生かすよう努める必要がある」とし、児童生徒のよさを伸ばす評価を充実すること
 特に、道徳科の授業においては、発達の段階に応じ、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の子供が自分自身の問題と捉え、「考える道徳」、「議論する道徳」へと転換を図るものとなっています。

3月31日(金)  新年度に向けて始動!(3)

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 いよいよ平成28年度も最終日となります。各学校では、平成29年度に向けた準備が着々と進んでいることと思います。また、学校全体の道徳教育の目標や方針等も検討されていることと思います。

 昭和33年に道徳の時間が設定されて今年で59年目。「特別の教科 道徳」の実施は、道徳教育にとって大きな転換点となります。カリキュラム作成や指導法の工夫、評価方法の研究など準備することはたくさんありますが、何よりも大切なことは、「道徳の授業が
楽しい」と思えることです。子どもたちはもちろんですが、指導者である教師も楽しいと感じるような授業であって欲しいと思います。そのためには、次の点について留意することが大切です。

(1)明確な指導観をもつ
 パターン化したり、「型」を作ったりするのではなく、目の前の子どもたちを、どう育てたいか、この教材をどのように扱うか、何を子どもたちと話し合いたいかを考えることが、最も大切です。教師の熱意は、必ず、子どもたちに伝わります。「教えよう」という姿勢から、「共に考えよう」という姿勢に変わることです。子どもたちの議論を楽しみましょう!
(2)教師自身が学ぶ
 「特別の教科 道徳」の学習指導要領解説に、「アクティブラーナー」という言葉が出てきます。教師自身が積極的に学ぶ姿勢をもつということです。教師が学び続けることで「教師」と呼ばれる存在となります。大きな転換点であるこの時期にこそ、教師は大いに学んで欲しいと思います。

 以上2点が、「道徳が楽しい」と思えるための基本姿勢です。各学校で、こうした点についても研修し、子どもたちが自己の生き方や人間の生き方をじっくりと見つめることができるような多面的・多角的な授業を展開していただきたいと思います。

 一年間、閲覧ありがとうございました。次年度もよろしくお願いいたします。

3月30日(木)  新年度に向けて始動!(2)

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 今日は、新年度の道徳の時間に向けて、どのような準備を進めていったらよいかをお話しさせていただきます。

 4月、最初の道徳の時間。子どもたちは、初めて知り合う友達もいる中で、どんな授業が行われるのかという期待感と共に、緊張感をもって授業に臨んでいます。一年間の最初の授業は、どのような授業を展開するとよいでしょうか。

 子どもたち全員に配付されている「私たちの道徳」の冒頭には、「今の私」というページが設定されています。このページを活用して最初の授業を展開する方法があります。
 まずは、子どもたちにこのページに記入をさせます。ただし、書き込めないところは、空欄のままで構いません。大切なことは、このページを記入する活動を通して、「今までの自分を見つめる」ということを意識させることです。これまでの成長を感じさせながら、これからどんな自分になっていきたいかを意識させます。
 記入後は、「今の自分・これからの自分」というようなテーマを設定して、ペアや小集団の中で、発表会を行います。その際に、「聞く」「語る」「質問する」「共感する」ということを意識させます。全体の場で発表する必要はありません。大切なのは、子どもたちが自分を見つめ、友達の存在を認めていくということです。

 最後に、担任の先生が、自分を語ることが大切です。その中で、どのような学級にしたいか、どのような授業を行いたいかということを、自分の言葉で伝えてみましょう。

3月28日(火)  新年度に向けて始動!(1)

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 平成28年度も残すところ、あと一週間。小中学校では春休みに入り、年度末のまとめと新年度に向けた準備が進んでいます。そこで、今週は、新年度に向けての取組についてお話をさせていただきます。

 まずは、学校全体の道徳教育全体計画の見直しが必要です。何と言っても校長先生の道徳教育の方針が大切となります。学習指導要領解説(小学校)では、次のように示されています。

◆道徳科の指導は、学校の道徳教育の目標を達成するために行うものであることから、学校においては、校長が道徳教育の方針を明確にし、指導力を発揮して、全教師が協力して道徳教育を展開するため、道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心として、道徳教育の全体計画に基づく道徳科の年間指導計画を作成する必要がある。(P70より引用)

 校長が示す方針や目標は、明確であることが重要です。そのためには、多くの目標を立てるのではなく、児童生徒も教職員も分かる焦点化したものにする必要があります。学校の現状を分析し、内容項目のどこを重点的に指導していくかを共通理解することが大切です。

3月27日(月)  次期学習指導要領と道徳(5)

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 今日は、教育内容の改善と充実について、お話をさせていただきます。

 既に平成27年3月に、指導すべき内容項目が示されています。特に、いじめへの対応や情報モラル等の現代的課題への対応の充実の必要性が示されました。それに加えて、今後、更なる指導の充実を図るべき点が、答申の中で示されています。

◆今後、小・中・高等学校を通じて、更なる指導の充実を図るべき点としては、例えば、
(ア)公職選挙法改正による選挙権年齢の引き下げ等も踏まえた積極的な社会参画に関わること、(イ)障害者差別解消法の施行等を踏まえた障害者理解(心のバリアフリー)に関わること等が考えられる。こうした課題に関する学習の充実を図るとともに、各学校においては学校や地域、児童生徒の状況に応じて重点的に取り組むべき課題の設定を行うこ
とが望まれる。

 常に社会の動きや課題に目を向け、それらを適切に道徳教育の中に設定していこうとする意識をもつことが重要です。

3月24日(金)  教材紹介〜『競争は悪いこと?』〜

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 本年度配付された「私たちの道徳」(中学校版)には『ちょっと立ち止まって考えてみよう』というページがあります(P250〜253)。このページには、どのような意図があるのでしょうか。

 私たちは日常生活を送る上で、様々な道徳的諸価値が関わる問題に遭遇します。例えば、「競争は悪いこと?」「親切って難しい?」「本当の幸せって何だろう?」というような問題について考えさせられることがあります。一見単純に思える「問い」ですが、哲学的な「問い」と考えることもできます。こうした「問い」を、他者と協働して、様々な生活の場面を想い起こし、多面的・多角的に考察すると、考えた先に新たな「問い」が生まれ、考え続けることの大切さに気付くことができます。

 安易に結論を出さず、ちょっと立ち止まって考え、その時点において最善と思われる解を導き出すことは、人が生きていく上で大切な選択となります。「人生は選択の連続」とも言われます。是非、道徳の授業で取り組んで欲しい教材です。

3月23日(木)  次期学習指導要領と道徳(4)

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今回の答申の中で、「見方・考え方」という言葉が何度も出てきます。この「見方・考え方」とは、どんな意味があるのでしょうか。答申の中では次のように示されています。

◆各教科の特質に応じた「見方・考え方」は、それぞれの教科等の学びの「深まり」の
鍵となるものである。
◆生きて働く知識・技能を習得したり、思考力・判断力・表現力を豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものである。
◆すなわち、資質・能力の三つの柱全てに深く関わる、各教科等を学ぶ本質的な意義の中核を成すものであり、教科等の教育と社会をつなぐものである。

 では、道徳の場合の「見方・考え方」とは何でしょうか。答申の中で、次のように示されています。

★「考え、議論する道徳」を目指す今回の小・中学校学習指導要領の改訂の趣旨に照ら
して考えると、道徳科における「深い学び」の鍵となる「見方・考え方」は、今回の改
訂で目標に示されている、「様々な事象を、道徳的諸価値の理解を基に自己との関わりで
(広い視野から)多面的・多角的に捉え、自己の(人間としての)生き方について考え
ること」であると言える。 ※(  )は中学校の内容

3月22日(水)  次期学習指導要領と道徳(3)

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上記のイメージ図は、文部科学省が示している小・中学校における道徳教育と資質・能力の関係を表したものです。

 道徳科の目標は、児童生徒の道徳性を養うことにあります。この道徳性を養うために行う道徳科における学習は、「道徳的諸価値の理解」(=理解)と「自己の(人間としての)生き方についての考え」(=思考)といった要素により支えられています。道徳科の学習の中で、これらが相互に関わり合い、深め合うことによって、道徳性を養うことにつながっていきます。 

 そして、この道徳性が基盤となり、「自立した人間として他者と共によりよく生きる」という道徳教育の目標の実現(=実践)に結び付いていきます。つまり、この道徳性が、学校全体で取り組む道徳教育や道徳科の学習で育てる資質・能力と捉えることができます。

3月21日(火)  次期学習指導要領と道徳(2)

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 今日は、「求められる資質・能力の三本柱」についてお話をさせていただきます。下記の図の「何ができるようになるか」に示されている三つの内容がその三本柱に当たります。
答申の中では、次のように示されています。

◆教科等と教育課程全体の関係や、教育課程に基づく教育と資質・能力の育成の間をつなぎ、求められる資質・能力を確実に育むことができるよう、教科等の目標や内容を以下の三つの柱に基づき再整理することが必要である。
(1)「何を理解しているか、何ができるか」
※生きて働く「知識・技能」の習得
(2)「理解していること・できることをどう使うか
※未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成
(3)「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか
※学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵(かん)養

 道徳科においても、ここに示された資質・能力を高めるような授業を展開することとなります。これまでお話をさせていただいた質の高い多様な指導方法が、そうした授業展開の例となります。

 さて、次回は、この三本柱と道徳科の目標との関わりについて説明をさせていただきます。

3月17日(金)  次期学習指導要領と道徳(1)

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 昨年12月21日に中央教育審議会より、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」が出されました。この中には、次期学習指導要領に関する内容が盛り込まれています。本日からは、この答申と道徳教育との関わりについてお話をさせていただきます。

 まずは、次期学習指導要領の大きな枠組みについてです。答申の中では、次の6点が示されています。

(1)「何ができるようになるか」
 (育成を目指す資質・能力)
(2)「何を学ぶか」
 (教科等を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成)
(3)「どのように学ぶか」
 (各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実)
(4)「子供一人一人の発達をどのように支援するか」
 (子供の発達を踏まえた指導)
(5)「何が身に付いたか」
 (学習評価の充実)
(6)「実施するために何が必要か」
 (学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策)

 そして、(1)〜(6)に関わる事項を各学校が組み立て、家庭・地域と連携・協働しながら実施し、目の前の子供たちの姿を踏まえながら自校の教育活動を見直していくことになります。道徳教育についても同様のことが言えます。次回からは、もう少し詳しくお話をさせていただきます。

3月16日(木)  教材紹介〜『加山さんの願い』〜

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 本日、紹介させていただく教材は、『加山さんの願い』です。文部省の「道徳教育推進指導資料4」に収録されている作品です。「明るい人生 中学3年」(愛知県教育振興会)にも収録されています。(P21〜25)

◆あらすじ
 加山さんは散歩の途中で顔見知りの佐藤さんが病死しているのを、死後三日目に発見する。衝撃を受けた加山さんは、市内の「訪問ボランティア」というボランティアグループに登録し活動を始めた。しかし、自分では満足感が得られているものの、訪問を拒否する老人がいて、困ることも多かった。そんな老人とも、何度か訪問するうちに、ようやく心が通じ合うようになってきた。そんな時、加山さんは、自分は「世話をしてあげている」という考えで、自分だけがいい気分になっていることに気が付く…。

 この教材は、内容項目C−(12)「社会参画、公共の精神」を考えさせるのに適した
読み物です。加山さんの気持ちの変化に気付かせるとともに、本来のボランティアの姿を話し合わせることにより、生徒に社会参画の大切さを感じさせ、自分に何ができるかを考えさせることができます。
(※イラストは、「明るい人生 中学3年」P25より引用)

3月15日(水)  愛知県道徳教育推進会議からの提言(6)

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 リーフレットの説明の最終回は、「C(評価)」と「A(改善)」についてお話をさせていただきます。

 リーフレットでは、扶桑町立扶桑北中学校の実践を紹介させていただきました。扶桑北中学校では、ポートフォリオ評価を中心として、生徒のよさを認め伸ばす評価に取り組むとともに、「道徳授業のバトンリレー」という体制で、学年を中心とした授業研究を進めています。

<道徳授業のバトンリレー>
◆ 一つの教材を一学級ずつリレー方式で順に授業を行い、
授業を行うごとに学年で検討を重ね、質の高い授業を目指
します。
◆ 模擬授業や検討会を行い、中心発問、板書、授業展開等
について改善を加えます。

 この方法は、一人の先生が、同じ教材で、複数クラスを授業する「ローテーション授業」同様に、授業の評価と改善が明確に行われ、先生方の授業力も向上します。ポイントは、以下の2点です。

<ポイント>
□ 教師同士で互いに授業を参観し合ったり、他の学級でも
授業を行ったりして、チーム
 として授業力の向上に努める。
□ 児童生徒の評価を授業の改善に生かすとともに、児童生
徒の理解を深め、よさを捉える。

3月14日(火) 愛知県道徳教育推進会議からの提言(5)

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今日も、授業改善のPDCAサイクルの「D(授業実践)」について、お話をさせていただきます。特に「振り返り」を中心に幸田町立北部中学校の取組を紹介させていただきます。

 「振り返り」については、7月29日の文部科学省通知「学習指導要領の一部改正に伴う小学校、中学校及び特別支援学校小学部・中学部における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」の中で、次のように示されています。

◆道徳科については、「道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を(広い視野から)多面的・多角的に考え、自己(人間として)の生き方についての考えを深める」という学習活動における児童生徒の具体的な取組状況を、一定のまとまりの中で、児童生徒が学習の見通しをもって振り返る場面を適切に設定しつつ見取ることが求められる。

 そこで、北部中学校では、生徒が自らの成長を実感させる振り返りの仕方と評価方法の工夫として、次のような取組をしています。
(1)「振り返りシート」を活用し、授業後の自分を見つめる
   機会を確保しています。
(2)「教師メモ」や「振り返りシート」を蓄積したポートフォ
   リオ評価を行い、生徒の成長を捉えています。

 「振り返り」は、こうした「振り返りシート」を活用したり、ワークシートの一部に振り返りの欄を設けたり、道徳ノートに記入させたりすることで、児童生徒の成長を見取ることができます。また、「振り返り」の活動でポイントとなるのは、次の2点です。

<ポイント>
□ 記述が苦手な児童生徒については、「教師メモ」等を
 活用し、発言や演技の様子、表情などから児童生徒の成
 長を捉える工夫をする。
□ 評価の質を高めるために、視点や方法、集める資料な
 どについて、学年や学校で共有する。

★リーフレットはこちらから→ここをクリック

3月13日(月) 愛知県道徳教育推進会議からの提言(4)

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 今日は、授業改善のPDCAサイクルの「D(授業実践)」について、お話をさせていただきます。リーフレットでは、岡崎市立竜美丘小学校の取組を紹介させていただきました。

 昨年7月22日、道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議が、「『特別の教科 道徳』の指導方法・評価等について」の報告を出しました。その中で、質の高い多様な指導法として「読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習」「問題解決的な学習」「道徳的行為に関する体験的な学習」が紹介されました。竜美丘小学校では、これらの指導方法をうまく組み合わせて、効果的な学習を展開しています。

◆竜美丘小学校の取組例
・問題解決的な学習や自我関与させる発問、役割演技などを工夫し、主体的な学習を展開しています。
・児童の思考の流れが分かる構造的な板書構成を考え、授業を展開しています。

 ポイントは、次の2点です。
○一つの指導の「型」に固執しないで、児童生徒の実態や授業のねらいに応じて、適切な指導方法を工夫し教師も児童生徒と共に考える姿勢を大切にすること。
○明確な意図を持ち、対比的・構造的な板書構成の工夫をすること。

3月10日(金) 愛知県道徳教育推進会議からの提言(3)

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 今日は、授業改善のPDCAサイクルの「P(計画)」について、お話をさせていただきます。リーフレットでは、春日井市立坂下小学校の取組を紹介させていただきました。

 計画の段階で、最も大切なことは「明確な指導観を持つ」ということです。教材をじっくりと分析し、子どもたちの実態から、どのような授業を行うとよいかを考えます。安易にパターン化された授業展開に当てはめるのではなく、じっくりと練り上げることが大切です。坂下小学校では、以下のような取組をしています。

◆坂下小学校の取組例
・主人公の心情や考えが大きく変化する場面を中心場面と捉え、効果的な発問作りに主眼をおいて資料の分析を行っています。
・授業で使う場面絵や挿絵、発問短冊、板書構成等を一緒に作り、共有するとともに、授業の流れや発問を吟味しています。

 坂下小学校では、これらの取組を個人で行うのではなく、学校や学年で協力しながら行っています。

<計画段階のポイント>
○児童生徒の実態を把握し、ねらいとする道徳的価値についての明確な考えを持ち、教材研究を進める。
○教材をどのように活用し、どのような方法で学習を進めるのかを明らかにし、学年や学校で成果を共有する。

3月9日(木) 愛知県道徳教育推進会議からの提言(2)

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 教科化される道徳の授業において、どのような学習を進め、児童生徒の何を見取って、どう評価していくのかが漠然としている状況では、児童生徒のよさはなかなか評価されず、成長実感につながっていきません。
 そこで、愛知県道徳教育推進会議では、「特別の教科 道徳」の実施を見据え、児童生徒のよさを伸ばし、指導方法の工夫を進めるためには、評価の在り方の研究を進めることが、不可欠であると考え、昨年度までの「指導方法」に加えて、「評価」の研究に取り組みました。

 そして、研究推進校の実践や推進会議の協議から、「評価」について、以下のようなことが大切であると考えました。

◆評価は、児童生徒にとっては、自らの成長を実感し、意欲の向上につながるものとなり、教師にとっては指導方法の改善・充実につながるものとならなくてはならない。
◆したがって、「道徳科」の評価は、授業改善のPDCAサイクルの中で実施し、具体的な記録の蓄積の中から児童生徒の成長を捉え、よさを伸ばすものとすることが大切である。

 次回は、具体的な研究推進校の取組から、指導方法と評価のポイントについて説明いたします。

3月8日(水) 愛知県道徳教育推進会議からの提言(1)

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愛知県内の中学校では、卒業式が終わり、愛知県公立高等学校の入学者選抜が始まっています。体調管理に気をつけ、自分の力を十分に発揮してほしいと思います。

 さて、本日からは、愛知県道徳教育推進会議が作成した成果物(リーフレット)について、詳しくお話をさせていただきます。

 このリーフレットは、愛知県道徳教育推進会議の中で協議された内容を、提言という形でまとめたものです。特に、平成28年度の道徳教育研究推進校の4校の実践を基にして作成されています。4校の研究成果が詰まったリーフレットです。是非、積極的な活用をお願いしたいと思います。

★成果物(リーフレット)はこちらから→クリック

 本年度の提言は、以下の3点です。
○ 指導のねらいを明確にし、質の高い多様な指導方法を工夫すること
 により、授業改善に取り組みます。
○ 学習活動における児童生徒の具体的な取組の記録を蓄積し、その成
 長の様子を一定のまとまりの中で見取ります。 
○ 児童生徒がその成長を実感し、よさを伸ばそうとする評価を目指し
 ます。 

 具体的な内容については、次回から説明させていただきます。

3月7日(火) 言語活動と道徳(4)

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 次期学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」がキーワードとなっています。「対話的な学び」を実現させるためには、言語活動が重要となります。特に、「話合い」の充実が「対話的な学び」には欠かせないものとなります。学習指導要領解説では、次のように示されています。

◆自分の考えを基に書いたり話し合ったりできるようにするためには、話合いの一定のルールなどを身に付けさせることは必要であるが、日頃から何でも言い合え、認め合える学級の雰囲気をつくるとともに、教師が受容的な姿勢をもつことが大切である。また、自分とは異なった考えに接する中で自分の考え方や感じ方が明確になるなど、学習が深まるということを、日頃の経験を通して実感させるように努めることが求められる。(小学校学習指導要領解説P90より引用)

 分かりやすくまとめてみましょう。
(1)話合いのルールを確認する。
(2)学級の中に支持的な風土を醸成する。
(3)「話すこと」だけでなく「聞くこと」の指導も大切にし、認め合う雰囲気をつくる。
(4)教師が受容的な姿勢をもち、児童生徒の考えを引き出すよう工夫する。

 子どもたちが自ら「問い」を立て、「対話」する楽しさを、小学校の低学年から味わわせ、教師も一緒になって、道徳的な価値を追求することが大切です。

3月6日(月) 言語活動と道徳(3)

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 児童生徒が、自分の考えを深め、判断し、表現する力を身に付けるために、言語活動はなくてはならない活動となります。授業の中に言語活動を取り入れる際、どんなことに気を付けたらよいでしょうか。小学校学習指導要領解説では、次のように示されています。

◆児童の考えを深め、判断し、表現する力などを育むためには、児童が多様な考え方や感じ方に接することができるように、何について考えるのかを指導者が明確に示す必要がある。(P90より引用)
 例えば、読み物教材であれば、どの場面の、どの登場人物の、どのような行為や判断、動機などの何について自分との関わりで考えるのかをより的確に、より具体的に示さなければならない。そのためには、指導者自身が、児童観を明確にして、教材の構造やそこに含まれる道徳的価値を深く理解し、さらに、児童の発達の段階や実態を考慮に入れ、児童一人一人が道徳的価値について自分の考えをもつことができるようにすることが大切である。

 授業展開を考える際に、まずは、教材をじっくりと分析し、「明確な指導観」をもつことが大切です。授業展開を「型」に流し込むのではなく、児童生徒の顔を思い浮かべ、何を考えさせたいかを明確にすることが重要です。安易に授業の「型」をつくり、パターン化してしまうことは、授業の形骸化につながる心配があります。

3月3日(金) 教材紹介〜『賢者の贈り物』〜

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 今日は、アメリカの小説家であるO・ヘンリーの作品を紹介させていただきます。彼は、優れた短編小説を数多く世に出し、日本でも多くの人に読まれ、愛されています。そして、日本でよく知られた作品の一つが『賢者の贈り物』という作品です。「私たちの道徳」(中学校)のP57に掲載されています。簡単にあらすじを紹介しましょう。

◆あらすじ
 安いアパートに暮らす貧しい夫妻のジム(夫)とデラ(妻)。クリスマスが近く、デラは、ジムにプレゼントを買うため、お金を工面しようとします。デラは、夫のジムが祖父と父から受け継いで大切にしている金の時計を吊るすチェーンを買うために、自慢の髪をバッサリと切り、髪の毛を売る商人の元に売ってしまいました。
 そして迎えたクリスマスの夜、デラはジムにチェーンを贈ります。すると、ジムはポケットから包みを出し、机の上に置きました。デラへのプレゼントです。それは、デラがずっと欲しがっていた長い髪のための美しい櫛(くし)だったのです。ジムは、この櫛を買うために、大切な金の時計を売っていたのでした。

 さて、このお話、皆さんは子どもたちに何を考えて欲しいでしょうか。「私たちの道徳」では「思いやりの心」の項目のページに掲載されています。O・ヘンリーは話の最後で次のように綴っています。

◆贈り物をやりとりする全ての人の中で、 この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。 世界中のどこであっても、このような人たちが最高の賢者なのです。
 (※イラストはP54より引用)

3月2日(木) 言語活動と道徳(2)

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皆さんは、「言語活動」と聞いて、具体的にどんな活動を思い浮かべますか。学習指導要領解説では、次のように示されています。

◆国語科では言葉に関わる基本的な能力が培われるが、道徳科は、このような能力を基本に、教材や体験などから考えたこと、感じたことをまとめ、発表し合ったり、話合いなどにより異なる考え方、感じ方に接し、協同的に議論したりする。(小学校学習指導要領解説P89より引用)

 例えば、次のような活動が考えられます。
(1)教材の内容や登場人物の気持ちや行為の動機などを自分との関わりで考える。
(2)友達の考えを聞いたり、自分の考えを伝えたり、話し合ったり、書いたりする。
(3)学校内外での様々な体験を通して考え、感じたことを、道徳科の学習で言葉を用いて表現する。

 これらの中で、言葉の能力が生かされるとともに、道徳的価値の理解などが一層効果的に図られていきます。特に、(2)の活動は、「対話的な学び」につながるもので、他者の考えを知り、そこから自分の行動を考えることができ、道徳科の学習の中での「納得解」を見つけるための大きな手掛かりとなります。

3月1日(水) 言語活動と道徳(1)

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今日から3月。いよいよ各学校では、卒業式や修了式に向けて、一年間のまとめをする時期に入ります。

 道徳教育についても、一年間の研究の成果と課題をまとめ、次の年度に引き継いでいきます。小学校は、「特別の教科 道徳」が実施されるまで、あと一年となりました。平成29年度は、準備を進める大切な年度となります。

 さて、本日からは、「言語活動と道徳」というテーマで話を進めてまいります。

 学習指導要領では、言語活動について次のように示されています。

◆児童が多様な感じ方や考え方に接する中で、考えを深め、判断し、表現する力などを育むことができるよう、自分の考えを基に話し合ったり書いたりするなどの言語活動を充実すること。(小学校学習指導要領P89より引用)

◆生徒が多様な感じ方や考え方に接する中で、考えを深め、判断し、表現する力などを育むことができるよう、自分の考えを基に討論したり書いたりするなどの言語活動を充実すること。その際、様々な価値観について多面的・多角的な視点から振り返って考える機会を設けるとともに、生徒が多様な見方や考え方に接しながら、更に新しい見方や考え方を生み出していくことができるよう留意すること。(中学校学習指導要領P91より引用)

 言語活動は、道徳の授業の中核をなすものです。充実した活動となるよう様々な工夫が必要となります。

2月28日(火) 家庭や地域社会との連携(3)

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 道徳の授業では、様々な資料を扱います。その中には、現代的な課題も含まれています。児童生徒が、それらの課題に対して、より実感をもって考えることができるようにするためには、保護者や地域の方を始め、様々な分野の方、団体の方の協力を得ることが不可欠となります。学習指導要領解説には、次のように示されています。

◆例えば特技や専門知識を生かした話題や児童へのメッセージを語る講師として協力を得る方法がある。青少年団体等の関係者、福祉関係者、自然活動関係者、スポーツ関係者、伝統文化の継承者、国際理解活動の関係者、企業関係者、NPO法人を運営する人などを授業の講師として招き、実体験に基づいて分かりやすく語ってもらう機会を設けることは効果的である。
 そのために、日頃から、そのような人々の情報を集めたリストなどを作成しておくことが有効である。その際、児童が講師の話を聞くだけでなく、質問したり考えを伝えたり話し合ったりするなどの、一定の時間を確保しておく配慮が大切である。また、見通しをもって実施するため、計画に位置付けておくことも重要である。(小学校学習指導要領解説P98より引用)

 ただ、安易にゲストティーチャーを招き、一時間を丸ごとお任せしてしまうのではなく、明確なねらいを指導者がもち、事前に綿密な打合せをすることが重要です。

2月27日(月) 家庭や地域社会との連携(2)

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 家庭や地域社会との連携を図るには、まずは道徳の授業を公開し、授業の質的な転換や質の高い多様な指導法などについて理解を深めることが大切です。学習指導要領解説では、以下のように示されています。

◆道徳科は全教育活動を通じて行う道徳教育の要であり、その授業を公開することは、学校における道徳教育への理解と協力を家庭や地域から得るためにも、極めて大切である。実施の方法としては、通常の授業参観の形で行う方法、保護者会等の機会に合わせて行う方法、授業を参観した後に講演会や協議会を開催する方法などが考えられる。(小学校学習指導要領解説編P97より引用)

 また、その工夫についても、次のように示されています。
(1)保護者が児童生徒と同じように授業を受ける形で参加する。
(2)児童生徒と対話したり、グループ別による話合いに加わったりして意見交換する。
(3)道徳科の授業の公開を学校の年間計画に位置付ける。
(4)保護者だけでなく、地域の人々にも呼びかける。

 新年度に向け、今から企画や準備を進めていくことが望まれます。

2月24日(金) 教材紹介〜『裏庭での出来事』〜

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 今日は、中学校3年生の教材を紹介させていただきます。「明るい人生」(愛知県教育振興会)に掲載されている『裏庭での出来事』という作品です(P66〜69)。文部科学省の「道徳教育推進指導資料1」に収録されている有名な作品でもあります。あらすじは、以下のとおりです。

◆健二、雄二、大輔の三人は、お昼の休み時間にサッカーをするため、裏庭へ行く。すると鳥のひなを狙う猫がいた。とっさに雄二がボールを投げつけ、猫を追い払った。しかし、ボールは物置の天窓に当たり、ガラスが割れてしまう。雄二は、職員室に報告に行くが、その間、健二と大輔はサッカーを始め、健二が再びガラスを割ってしまう…。

 この作品では、主人公である健二がサッカーボールを蹴ってガラスを割ってしまうが、友人の言い訳の口車にのって、先生に事実を言えずにいます。しかし、悩みながらも最終的には自己の良心に忠実に行動し、自ら事実を報告しに行く姿が描かれています。

 この作品は、内容項目A−(1)「自主、自律、自由と責任」を考えさせることができる作品で、ガラスを割った後の行動について、問題解決的な学習を行うのにも適した作品です。(イラストはP66より引用)

2月23日(木) 家庭や地域社会との連携(1)

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 各学校では、年度末を迎え、一年間の教育活動の評価が行われています。もちろん、道徳教育についても、評価が行われ、新年度に向けての計画が進んでいます。今日からお話をさせていただく家庭や地域との連携についても、より充実したものとなるような活動が考えられていることと思います。

 学習指導要領では、家庭や地域社会との連携について次のように示されています。

◆道徳科の授業を公開したり、授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々、各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど、家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図ること。(小学校学習指導要領P97より引用)

 平成30年度から小学校、平成31年度から中学校で「特別の教科 道徳」が全面実施されます。保護者や地域の方々に、どのように授業が変わるのか、学校ではどのような道徳教育を行っているかを理解していただくとともに、どのように連携していったらよいかを考えていく必要があります。

2月22日(水) 情報モラルに関する指導(3)

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 今日は、情報モラルと道徳科の指導について、もう少し詳しくお話をさせていただきます。
 
 道徳科の授業では、情報モラルに関わる題材を生かして話合いを深めたり、コンピュータによる疑似体験を授業の一部に取り入れたりするなどして、創意工夫をすることが求められています。抽象的な言語活動だけにならないようにすることが大切です。解説の中では、具体的に次のような例が挙げられています。

◆具体的には、例えば、相手の顔が見えないメールと顔を合わせての会話との違いを理解し、メールなどが相手に与える影響について考えるなど、インターネット等に起因する心のすれ違いなどを題材とした親切や思いやり、礼儀に関わる指導が考えられる。また、インターネット上の法やきまりを守れずに引き起こされた出来事などを題材として規則の尊重に関わる授業を進めることも考えられる。その際、問題の根底にある他者への共感や思いやり、法やきまりのもつ意味などについて、児童が考えを深めることができるようにすることが重要になる。(小学校学習指導要領解説 P94〜95より引用)

 ただ、インターネットを中心とした端末機器の操作方法や具体的な危機回避行動などの練習が学習の中心とならないよう十分に注意する必要があります。

2月21日(火) 情報モラルに関する指導(2)

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 学習指導要領の解説では、情報モラルと道徳の内容との関連について以下のように示されています。

◆指導に際して具体的にどのような問題を扱うかについては各学校において検討していく必要があるが、例えば、親切や思いやり、礼儀に関わる指導の際に、インターネット上の書き込みのすれ違いなどについて触れたり、規則の尊重に関わる指導の際に、インターネット上のルールや著作権など法や決まりに触れたりすることが考えられる。また、情報機器を使用する際には、使い方によっては相手を傷つけるなど、人間関係に負の影響を及ぼすこともあることなどについても、指導上の配慮を行う必要がある。

 特に子どもたちの生活の中でトラブルが多いのは、SNS(social networking service)
での書き込みによるトラブルです。
 ・無断での友達の写真の掲載
 ・言葉のすれ違いによる誤解
 ・相手の悪口の書き込み
 ・ネットワークのグループから外す
 このようなトラブルを未然に防ぎ、スマートフォンや携帯電話を持ったときに有効に活用することができるような指導を進める必要があります。道徳では、ねらいとする内容項目と関連させながら指導を進めていきます。

2月17日(金) 情報モラルに関する指導(1)

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 今回の学習指導要領の改正では、現代的な課題に対する指導についても触れられています。特に、インターネットやSNS(Social Networking Service)等に関わる問題は、子どもたちにも大きな影響を与えています。学習指導要領解説においても、以下のように示されています。

◆社会の情報化が進展する中、児童は、学年が上がるにつれて、次第に情報機器を日常的に用いる環境の中に入っており、学校や児童の実態に応じた対応が学校教育の中で求められる。これらは、学校の教育活動全体で取り組むべきものであるが、道徳科においても同様に、情報モラルに関する指導を充実する必要がある。(小学校学習指導要領解説P94より引用)

 すでに、多くの学校において道徳の授業の中において、情報モラルに関する内容の指導が行われています。本「モラルBOX」の「愛知1014校の取組」の中でも、多くの実践が紹介されています。

2月15日(水) 道徳授業における板書(4)

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 今日は、児童生徒の考えを類型化した板書について紹介させていただきます。上記の写真が、その一例です。

 この授業の場合、乱れたトイレのサンダルを発見した際の主人公の心の葛藤を、子どもたちに考えさせ、五つの考え方が出されました。一つの発問に対する、こうした多様な考えを基にして、子どもたちの話合いが展開されていきます。そして、上記の写真のように、考え方が一目で分かるように工夫することで、意見の交流がしやすくなります。指導者も、この類型を上手く活用しながら、子どもたちの本音を引き出していきます。また、この板書の中にある黄色い線は、主人公の感情曲線を示しています。こうした曲線を話合いに活用することも工夫の一つとなります。

 ここにあるような行動だけでなく、その行動の裏側にある考えや気持ちなどについても板書することで、道徳的価値を深めていく手がかりとなります。

2月14日(火) 道徳授業における板書(3)

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本日は、一時間の授業の中で、複数の道徳的価値を扱う展開の場合の板書例についてお話をさせていただきます。

 例えば、中学校の教材である『カーテンの向こう』の場合、「誠実」と「思いやり」という二つの道徳的価値を扱う場合があります。こうしたジレンマ的な授業展開を考えた場合、板書は双方の考え方を板書することになります。その際に、生徒の考えが一目で分かるように構造化していくことが大切です。

 写真は、生徒に赤と青で自分の立場をはっきりさせ、それぞれの立場の考えを板書したものです。この実践の場合、赤と青の三角柱は、「簡易アナライザー」というような呼び方がされていました。指導者は、このアナライザーを活用しながら、意図的な指名をし、多面的・多角的な話合いを進めていきます。

2月13日(月) 教材紹介〜新しいものを求めるということ〜

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 本日は、「私たちの道徳」(小学校5・6年生)のP44〜45に掲載されている「新しいものを求めるということ」というページを紹介させていただきます。

 この2ページでは、3人の人物が紹介されています。歌舞伎役者の中村勘三郎、物理学者のマリー・キュリー、そして科学者の池田菊苗です。

■中村勘三郎(1955〜2012)
 古典を大切に守りながら、型を破り新しいことにチャレンジしていくことの大切さを教えてもらえます。
■マリー・キュリー(1867〜1934)
 ラジウムを発見し、今でもがんの治療に役立てられています。「人のことを詮索するのではなく、もっとアイディアに好奇心を向けなさい」と興味や関心をもつことの大切さを教えてもらえます。
■池田菊苗(1864〜1936)
 ある日食べた昆布だしを使った湯豆腐(ゆどうふ)のおいしさに感動し、この味のもとには昆布だしが関係していると考え、研究を進め、ついに「L―グルタミン酸ナトリウム」を発見しました。自分から積極的に物事を考えることの大切さを教えてくれます。

 この3人の活動や言葉から、内容項目「A−(6)真理の探究、創造」について多面的・多角的な話合いを進めることができます。

2月10日(金) 道徳授業における板書(2)

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上の写真は、元スキージャンプの原田選手を扱った道徳授業の板書です。

 トリノオリンピックに出場した原田選手。個人ノーマルヒル予選で95mの記録を残しましたが、ジャンプ終了後の抜き打ち検査によりスキー板が国際スキー連盟の定めた規定に違反していた事が発覚し、失格となった出来事を扱った授業です。

 原田選手の揺れ動く心の葛藤を考える授業の中で、子どもたちの意見を二つに分類し、対比して書かれています。原田選手の葛藤を黒板に「見える化」することから、子どもたちが道徳的価値について考えを深めます。この板書を基にして、多面的・多角的な話合いが展開されます。

 こうした対比型の板書は、葛藤する主人公を扱った授業において大きな効果を発揮します。

2月9日(木) 道徳授業における板書(1)

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 本日からは、道徳の授業における板書の在り方について、お話をさせていただきます。

 道徳の授業の中で行われる板書には、大きな意味があります。例えば、次のような意味があると考えられます。
・授業展開の記録として
・子どもたちの考えを「見える化」する媒体として
・子どもたちが「問い」を立てたり、「解決」への糸口をさぐったりする資料として

 昭和33(1958)年、道徳の時間が実施されてから、学校現場では様々な研究が進められ、板書についてもすばらしい研究の成果が残されています。では、具体的にどのような板書の例があるのでしょうか。

 一般的には、下の写真にあるように、授業の流れに沿って、子どもたちの考え方をまとめていく方法があります。場面絵等も効果的に使い、時系列で板書します。子どもたちにとっては、授業の流れがよく分かり、自分たちの考え方の変化を把握しやすくなります。
指導者は、板書をするのに多くの時間を費やさないよう、簡潔に短い言葉でまとめます。

2月8日(水) 教材紹介〜『六千人の命のビザ』

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 「明るい人生 中学3年」(愛知県教育振興会)には、『六千人の命のビザ』という作品が掲載されています(P122〜127)。皆さんも御存知の杉原千畝さんを扱った作品です。

◆あらすじ
 杉原さんは、第二次世界大戦中、リトアニア日本領事館で領事代理をしていました。
1940(昭和15)年の夏、多くの人々が、領事館の建物の周りに集まり、日本通過のビザを要求していました。当時、日本はドイツやイタリアと協力関係にあり、発給することは不可能な状況でした。
 しかし、杉原は外務省の命令に背き、人々にビザを発給することを決心します。そして、朝から晩まで、毎日毎日、ビザを発給します。杉原は、外務省からリトアニアの領事館を閉めてベルリンに行くように命令を受けますが、ベルリン行きの列車に乗る間際まで、ビザを発給し続けました。

 このお話は、大変有名な話で、映画化もされ、多くの人の心に感動を与えました。道徳の授業では内容項目C−(18)「国際理解、国際貢献」を考えさせるのに適した教材です。この作品では、外務省の命令に反して、ビザを発給し続ける杉原の思いを、じっくりと考えさせることが大切です。
 こうした偉人を扱う際に、自分からは遠い存在で、別の世界の人という意識をもたせるのではなく、一人の人間としての苦悩や高い志に触れさせることが大切です。そして、それを生徒のこれからの人生に生かしていけるような授業展開を考える必要があります。
(※地図はP122より引用)

2月7日(火) 愛知県道徳教育パワーアップ研修会(3)

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 研修会の分科会の中で、道徳科の教科書が導入された後の副読本の扱いについて質問が出されました。以前にも、このコーナーで説明させていただきましたが、今一度、確認をさせていただきます。(11月17日の記事より)

Q:検定教科書が導入された後、各地域で独自に作成した教材などは、どの程度使用できますか。教科書を使用する割合などありますか。

A:道徳科の指導を行うに当たっては「主たる教材」として教科書を使用しなくてはなりませんが、必要に応じてその他の教材を適切に活用できます。例えば地域教材などです。
ただ、その際、次の点に気を付ける必要があります。
・学習指導要領の趣旨に従っていること
・年間計画を適切に設定すること
・使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること
・特定の見方や考え方に偏った取扱いにならないこと
 なお、検定教科書が使用されると、現在活用している「私たちの道徳」は発行されなくなります。

 「特別の教科 道徳」が完全実施され、教科書が導入されてから、安易に教材等を差し替えるのではなく、学校や学年で十分に検討して計画的に進めていくことが大切です。

2月6日(月) 愛知県道徳教育パワーアップ研修会(2)

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 2月1日に行われました愛知県道徳教育パワーアップ研修会の分科会では、道徳教育研究推進校が実践発表を行いました。その発表を受けて、会場の参加者から、「参考になった点」と「改善点」について、以下のような御意見を頂きました。

◆参考になった点
・改善の方向性が明確で、研究授業への取組が、学年の協力体制の下で行われていた。
・評価について、振り返りの重要性が理解できた。学期ごとの振り返りや一枚ポートフォリオ評価、教師の評価シートが参考になった。
・フレンドシップユニットという、全教育活動を通じて行う総合単元型の取組が参考になった。
・道徳授業のバトンリレーという方法が大変参考になった。この方法は、教師同士で学び合え、学年みんなで生徒を見守ることができると感じた。
・それぞれの学級で行った授業の板書を比較することは、授業改善に有効であると感じた。

◆改善点
・45分の授業の中に、多くの活動があり、盛りだくさんにならないか。
・カリキュラムを作成したり、学年や部会で教材研究したりする時間の確保が難しい。
・子どもが伸びることを願った評価や保護者に子どもの成長が伝えられる評価の研究がこれから重点的に行う必要性を感じた。
・ポートフォリオの良さは分かるが、書くことが苦手な子どもへの配慮も必要であると感じた。
・授業研究だけでなく、学校全体の道徳教育の目標を焦点化し、全職員で取り組むことの重要性を感じた。

2月3日(金) 愛知県道徳教育パワーアップ研修会(1)

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 2月1日(水)に愛知県道徳教育パワーアップ研修会を行いました。約200名の参加者と共に、「特別の教科 道徳」の実施を見据え、指導法や評価等について研修を行いました。

 本年度の研修会は、講義型の研修から参加型の研修に内容を変更しました。全体会、分科会ともに熱心な協議が行われました。参加者の感想の一部を紹介させていただきます。

・全体会では30分という短い時間にも関わらず、演習やアイスブレイクも入れて頂き、アクティブに参加することができ、ポイントを絞って理解を深めることができた。もう少し時間を確保して頂き、ゆっくり聞きたい内容でした。
・不安に感じていた「評価」について、研究推進校の発表や研究実践校のお話を聞き、具体的なイメージができてきた。
・パネルディスカッションでは、参加者が話し合う時間を作っていただき、聞くだけではなかったので、主体的に取り組めた。ただ、もう少しグループで話す時間が欲しかった。
・道徳の授業を本気で変えようとすると、学級や学校全体が変わり、良い方向に向かっていくということを、研修や実践報告を聞いて感じた。
・道徳についての研修を、どんどんやっていく必要があると感じた。学校単位だけでなく、市単位でも体制を整えていく必要があると感じた。

2月2日(木) 第2回愛知県道徳教育推進会議

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 2月に入りました。明日が「節分」で、暦の上では「春」が少しずつ近づいています。各学校においても、本年度の研究のまとめをする時期になっています。愛知県の道徳教育についても、4つの研究推進校と16の研究実践校および園の研究や実践をまとめる時期になっています。

 県におきましても、1月25日(水)に、第2回愛知県道徳教育推進会議を開催いたしました。会の中では、次のような協議を行いました。
(1)研究推進校の研究に関する中間発表について
 推進校の中間発表と推進委員の視察の結果から、実践について理解を深めるとともに、質の高い指導の工夫と評価の在り方について、意見交換を行いました。
(2)成果物の協議
 愛知県道徳教育推進会議の一年間の取組と推進校の研究成果をまとめた成果物(リーフレット)の協議を行いました。この成果物については、昨日行われた道徳教育パワーアップ研修会において配付するとともに、2月下旬から3月上旬に全小中学校に配信する予定です。是非、御活用ください。

1月31日(火) これまでの道徳教育を学ぶ(9)〜終末(説話)〜

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 道徳の授業の終末は、導入と同様に数分しかありません。この時間の中で、一時間の授業のまとめを行います。「まとめ」とは言うものの、決して教師の価値の押し付けにならないようにしなくてはなりません。

 この段階では、子どもたちが自らの考えを整理し、今後の生活につなげていけるような活動が必要となります。学校現場では、先生の「説話」という手法が多く活用されています。一人の人間としての先生が、自分の体験を語ります。失敗した体験や迷惑を掛けたこと、感動したことなどの話をすることによって、子どもたちは、より道徳的価値を深めます。そして、「説話」が「説教」とならないよう、余韻をもって終わります

 説話以外には、「心のノート」や「私たちの道徳」を活用して、学習をまとめていくという方法があります。

1月30日(月) これまでの道徳教育を学ぶ(8)〜展開後段〜

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 今日は、学校現場で多く実践されている道徳の授業において、いわゆる「展開後段」の指導について振り返ってみたいと思います。

 展開後段は、よく「価値の主体的自覚」の段階と言われます。この段階は、展開前段で資料を通して道徳的価値についての理解を深め、多様な価値観に触れた児童生徒が、資料を離れて自分の生活や行動を振り返る段階と捉えられています。

 小学校の低学年では、この段階において活発な活動がされることが多くありましたが、小学校の高学年や中学生になると、自分のことを他に話すことに抵抗を感じる児童生徒が増えるため、やや活動が鈍るという問題点がありました。学校現場では、この自分を見つめる時間を充実したものにするため、小集団学習の導入や学校行事との関連付けなど様々な工夫に取り組みました。これらの工夫は、現在も道徳の授業の中で大いに生かされています。

1月27日(金) 教材紹介〜『明かりの下の燭台(しょくだい)』〜

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 今日は、「明るい人生3年」に掲載されている『明かりの下の燭台』(P78〜82)という読み物を紹介させていただきます。

 この作品は、1964(昭和39)年に開催された東京オリンピックで、金メダルを獲得した女子バレーボールチームのマネージャーであった鈴木恵美子さんを扱った作品です。著者は、当時の監督であった大松博文さんです。監督の目から見た鈴木さんの生き様が描かれています。

◆あらすじ
 鈴木恵美子さんは、選手として日本チームに迎えられたものの、バレーボールが9人制から6人制に切り替わることになり、チームにとって不要となってしまいます。そこで、監督は鈴木さんに「マネージャーをやってくれないか」と依頼をします。鈴木さんは、悩んだ末、マネージャーを引き受けることとします。それ以後の彼女は、愚痴をこぼすこともなく、食事の世話や選択、道具の準備などを献身的に行いました…。

 この作品は、鈴木さんの生き方から、内容項目のC−(15)「集団生活の充実」を考えさせるのに適しています。その際、監督の目線で書かれた内容からだけでなく、鈴木さんの立場に立たせて、考えさせることが大切です。
 ※イラストはP82より引用

1月26日(木) これまでの道徳教育を学ぶ(7)〜中心発問〜

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 今日は、読み物資料の「共感的活用」の場合の中心発問についてお話をさせていただきます。

 中心発問は、道徳的な諸価値の理解を深めるうえで、大変重要な発問です。この発問をきっかけとして、教師と児童生徒が一緒に価値を追求していきます。この発問により、子どもたちは、多面的・多角的に「問い」を考え、多様な価値観に触れることになります。授業展開の中核をなす発問となります。したがって、資料をしっかりと吟味し、どのような発問をしたらよいかを検討する必要があります。その際に、学年の教師と意見交換しながら、発問作りをすると、より効果的な発問となります。

 これまで、中心発問では、「○○は、どんな気持ちだったでしょうか」という心情理解中心の発問が多くされていましたが、次のような発問も積極的に取り入れていく必要があります。
・「もし、自分が○○だったら、どんなことを考えますか」
・「なぜ、主人公はこのような行動をとったのだろうか」
・「この主人公の行動をどう思いますか」

 ワンパターンの「型」にはまった発問とならないよう、明確な指導観を持ち、授業に臨むことが大切です。

1月25日(水) これまでの道徳教育を学ぶ(6)〜基本発問〜

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 本日は、基本発問についてお話をさせていただきます。

 基本発問は、中心発問につながっていく発問です。一般的に、資料を「共感的活用」した場合には、中心場面に至るまでの登場人物の気持ちや考え方等を問う発問となります。中心発問の前段階の登場人物の心情をしっかり把握することで、中心場面以降の登場人物の大きな変化と比較して、どこに道徳的な価値があるかを考えることができるようになります。そうした意味で、大きな意味をもつ発問です。

 しかし、この基本発問を幾つもされる授業を目にすることがあります。中心場面での話合い活動での時間を確保するためにも、基本発問は、一つか二つほどが適切と考えられます。また、資料によっては、基本発問はしないで、すぐに中心発問をするという方法も考えられます。資料内容や児童生徒の実態、授業のねらいなどを考えて、柔軟に設定することが大切です。

1月24日(火) これまでの道徳教育を学ぶ(5)〜あらすじ確認〜

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 今日も、読み物資料を「共感的活用」した場合の「展開 前段」の資料提示後の学習活動についてお話をさせていただきます。

 読み物資料を提示をした後に、よく「あらすじの確認」をします。一度だけでは、内容を理解できない子どももいますので、大切な活動ではありますが、この活動に10分以上も時間を費やしているような授業を目にすることがあります。また、国語の読み取りのような質問が延々と続く場合もあります。この活動では、次のような点に留意するとよいと思います。

◆必要最小限の確認とすることが大切です。小学校の低学年では、やや多めの時間が必要ですが、小学校高学年から中学校にかけては、できる限り短い時間で確認をすることが、話し合う時間の確保につながります。
◆あらすじの確認の途中に、基本発問や中心発問が挿入される場合がありますが、子どもの思考が混乱する場合があります。大切な発問とは切り離して、基本発問や中心発問は、じっくりと考えることができるような展開の工夫をすることが大切です。
◆ICT機器や掲示物を利用して、視覚的に短時間に確認できるような工夫をすることで、話合いの時間が確保できます。

1月23日(月) これまでの道徳教育を学ぶ(4)〜資料提示〜

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 今日は、読み物資料を「共感的活用」した場合の「展開 前段」についてお話をさせていただきます。

 展開の前段では、資料を教師が提示するところから始まります。教師の範読が一般的ですが、教師の「読み聞かせ」や「語り」、映像を組み合わせての提示などの方法があります。国語の授業とは違いますので、読み物資料の内容を、子どもたちがしっかりと把握できるような提示が必要です。
 多く行われている教師の「範読」についても、棒読みや山場のない平坦な読み方では、子どもたちに登場人物の心情を考えさせることができません。教材研究をする中で、読みの練習をし、抑揚や感情の込め方、間の取り方、声色などを工夫することが望まれます。

 資料提示を、子どもたちの朗読によって行う実践例もありますが、その質が高く、意図を持って行えば、大きな効果がありますが、明確な意図もなく読ませることは、避けた方がよいと考えられます。

 最近の授業実践では、事前に資料を渡し、内容を理解した上で授業を進め、授業開始とともに「問題」を自分たちで作り、議論に十分に時間をかけるという研究も進められています。

1月20日(金) 教材紹介〜『葉っぱのフレディ』〜

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 今日は、「明るい心 6年」に掲載されている『葉っぱのフレディ』を紹介させていただきます(P6〜11)。

 有名な作品ですので、ご存じの方も多いと思います。原作はレオ・バスカーリア作のベストセラーとなった同名の絵本です。あらすじは、以下のとおりです。

◆主人公は、葉っぱのフレディ。春に大きな木の梢に近い、太い枝に生まれた五つの葉先の葉っぱです。夏にはりっぱな体に成長します。フレディは、最初はみんな自分と同じ形をしているのだろうと思っているが、すべて異なることに気づきます。
 フレディの大の親友はダニエル。ダニエルは、自然界の法則から、夏の暑い時には葉っぱ同士で体を寄せ合って木かげを作ってあげると人間が喜ぶことなど多くのことを教えてくれました。
 季節は移り変わり霜の季節が訪れる。緑色だった葉っぱは一斉に紅葉する。フレディは赤と青と金色の三色に変わった。
 そして冬の到来と共に、葉っぱたちは冷たい風に吹き飛ばされ、つぎつぎと落ちていく。ひとりぼっちになってしまったフレディは、雪の朝、迎えにきた風にのって枝を離れ、しばらく空中を舞った後、そっと地面に降りていく。そして静かに目を閉じ、眠りに入っていく。…そしてまた春がやってくる…。

 この作品は、内容項目D−(21)の「感動、畏敬の念」を考えさせるのに適しています。自然界の営みや「いのち」をテーマとして話合いをすると、子どもたちの考えがどんどんと深まっていきます。やや哲学的な話になるかもしれませんが、じっくりと価値を深めていきましょう。(※イラストはP6より引用)

1月19日(木) これまでの道徳教育を学ぶ(4)

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 本日は、「導入」段階での学習活動についてお話をさせていただきます。これまでの研究や実践の中で、様々な工夫がされてきました。

 導入段階では、「価値の方向付け」をすることが大切です。その時間に扱う内容項目につながるような学習活動を行います。導入の役割として、教材資料への導入と価値への導入という二つがよく挙げられます。

 教材資料への導入は、その時間に扱う読み物に関する活動をする導入です。例えば、『手品師』という読み物の場合、次のような発問や活動が考えられます。
・担任が、実際に手品を披露して、感想を求める。
・『手品師』と黒板に書き、どんなイメージがあるか問いかける。
・「みなさんは、手品を見たとき、どんな気持ちになりますか」という発問をし、資料の内容に結びつける。

 他方、価値への導入の場合は、次のような例が考えられます。
・「『誠実』ってどういうことだと思いますか」と発問する。
・「約束」に関するアンケートを行い、結果から気が付くことを話し合う。
・「約束を破ってしまったとき、どんな気持ちになりますか」と生活経験を聞く。

 導入は、主題に対する子どもたちの興味や関心を高め、ねらいの根底にある道徳的価値の理解を基に自己を見つめる動機付けを図る段階であることを意識して指導に当たることが大切です。

1月17日(火) これまでの道徳教育を学ぶ(2)

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これまで、多く学校で行われてきた道徳の指導過程は、読み物資料を「共感的活用」する場合の指導過程を指しています。今日は、この指導過程の展開についてお話をさせていただきます。

 この指導過程は、「導入」「展開」「終末」の3つの段階に分けられます。
◆「導入」
 価値への方向付けをします。時間的には数分の設定となります。授業で子どもたちに考えさせたい内容項目につながるような学習活動を設定します。
◆「展開前段」
 展開は、前段と後段に分けられます。前段では、資料を読んだ後に、登場人物の気持ちを考えながら、価値の追求をします。この段階では、話合い活動を通して、子どもたちの多様な価値観が出されます。
◆「展開後段」
 後段では、前段で出された子どもたちの価値観を一般化するとともに、子どもたちが自身の生活を振り返り、主体的に価値を自覚させていきます。
◆「終末」
 学習の整理とまとめの時間。時間的には、数分の設定となり、余韻をもって終わります。

 明日からは、もう少し詳しく指導過程について触れます。

1月16日(月) これまでの道徳教育を学ぶ(1)

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「特別の教科 道徳」は、小学校が平成30年度、中学校が平成31年度から全面実施されます。学習指導要領が一部改正されてから、まもなく2年が過ぎようとしています。「考える道徳」「議論する道徳」への質的な転換に向けて、各学校で研究が進んでいます。

 しかし、時折、若い先生方から、「これまでの道徳の授業から学ぶ点はないのでしょうか」という質問をされることがあります。

◆昭和33年の学習指導要領の公示によって新設された「道徳の時間」であるが、その定
着・充実のためにこれまで先人や研究団体は多大な努力を払ってきた。長年の研究や指導
の蓄積の中で、道徳の時間の特質を踏まえた指導過程も提唱され、広く実践されてきた。
 この指導過程は、「導入・展開・終末」の3段階で構成され、それぞれの段階における
教師の発問や指導の在り方を示すことによって、それを踏まえて道徳の時間に取り組め
ば、新任の教師であれ、ベテランの教師であれ、一定水準の道徳の授業を行うことがで
きるという意味において大きな役割を果たしてきた。

 上記は、「道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議」の報告からの引用です(P1)。これまで、多くの研究者や学校の先生方が道徳の授業づくりに情熱を燃やし、多くの成果を挙げてきました。明日からは、ここに紹介されている指導過程について詳しくお話をさせていただきます。