新潟市立亀田東小学校 平成22年度学校行事
学習発表会2010(11/7実施)
6年生 総合「世界がもし100人の子供たちの村だったら」小学校生活最後の学習発表会。子供たちも,そして,指導する教師もまた,その思いは並々ならぬものがあります。
例年ならば,総合学習「わくわくワーク生き方検索エンジン」の集大成となる発表会ですが,今年度は,単元を入れ替えて学習しているため,まだまだ学習の途中。これまでと同様の発表はできません。
「どんな学習内容を伝えるか。どんな発表会にしたいか。」
最初の段階で,内容,スタイルに至るまで子供たちに投げかけ,共に創り上げてきました。
子供たちが導き出した結論。それは「国際理解」。
- 世界一大きな授業(4月)
- サッカーワールドカップと関連付けたアフリカの子供たちの様子(7月)
- 国際理解ワークショップ「学校ってなんだっけ?」(9月)
- 「世界がもし100人の村だったら」ワークショップ(10月)
- 新潟市マイスター教諭,研究主任渡邊による道徳「watoto」(10月)
以上の既習事項を生かした発表を行うことになりました。
伝える手段のヒントとなったのは,これまで自分たちが体験した中で最も影響を受けた劇団四季のミュージカル「エルコスの祈り」,そして総合学習での月壱バンドのライヴ。
国際理解・国際協力の第一歩は『知ること』から始まり,広がっていくことを,観てくれる人々に伝えたい!という想いで,思考錯誤しながら創り上げた約20分のステージ発表となりました。
「It's a Small World」が流れる中,世界中の35か国の子供たちに扮した6年生が体育館に入場。会場は和やかな雰囲気に包まれます。
イメージは東京ディズニーランドのテーマパーク。子供たちは国別に事前学習を行い,その国にちなんだ振り付けをアレンジし,演じます。
続いて「世界がもし100人の村だったら」(池田 香代子編)をマスゲーム風に演出。「48人が男の子です」の場面では,48人の子供たちがタイミングよく立ち上がり,アピールします。
自分が演じる国や性別はもちろん,言語や生活環境まで把握している子供たち。何度も練習を積み重ねたその表情は,自信に充ち溢れていました。世界の半分以上がアジアに住んでいること,自分たち日本人もアジアの一員であることを再認識。
一斉に後ろを向く子供たち。そこには,世界中の国名と言語がずらり。世界中で話されている言語で「こんにちは」のパフォーマンス。「知っている言葉はあるかな。」
「ナマステ(インド)。」手を合わせ,笑顔であいさつ。世界で2番目に人口が多いインドは100人に縮めると…8人いることになります。
息もぴったりケニアのあいさつ「ジャンボー。」
ゲルマン民族をイメージしたドイツは敬礼しながら「グーテンダーク。」
カナダやマリでも公用語となっているフランス語は,花の都パリをイメージして「ボンジュール。」
モンゴル相撲で知られているモンゴル。しこを踏んで「サェンバエノー。」
100人のうち14人は,貧しくて学校に行けず,働きながら家計を支えているというのが世界の現実。その14人の状態を寸劇を取り入れ紹介していきます。
フィリピンのゴミ山でアルミを拾う子供たちは,8時間働いて100円の報酬。
フィリピンのゴミ山でアルミを拾う子供たちは,8時間働いて100円の報酬。
こちらはキューバのバナナ農園で働く子供たち。1日働いて100円を手にするものの,1度もバナナを食べたことがありません。
インドでサッカーボールを縫う子供たちは,1個につき30円の報酬です。
ガーナのカカオ農園で働く子供は,その実がチョコレートの原料になることは知っていても,チョコレートの味は知りません。彼らにとってチョコレートは超高級品。一度も見たことがないのです。
100人のうち20人は,食料の確保もままなりません。「1週間何も食べていない…。」と迫真の演技で訴えます。
世界の現実を知った子供たち。自分たちが置かれている普通の環境そのものが幸せなことであると気づき,身近なことからできる国際貢献を紹介していきます。
水道の蛇口から流れ落ちる水の写真を掲げ,節水を呼び掛ける子供たち。世界には水がいつでも自由に手に入らない地域もあるのです。
水道の蛇口から流れ落ちる水の写真を掲げ,節水を呼び掛ける子供たち。世界には水がいつでも自由に手に入らない地域もあるのです。
こちらは,紙を大切にしようと訴える子供たち。ノート類のページを切り取らないで,最後までしっかり使おうと呼びかけます。紙を作るためにたくさんの森林が伐採されていることを念頭に置きながら…使い終えた紙はミックスペーパーのゴミ箱へ!
エコキャップ800個でポリオの予防ワクチンに変えられると訴える子供たち。捨ててしまえばただのゴミ!それを生かすと大切な『資源』になります。
書き損じはがき1枚で,日本民際センターの国際支援活動を支えることができるとプレゼンするグループ。
給食から残量をテーマに発表するグループ。年間2000万トンの残量を出す我が国。世界で不足している食料の総量は1000万トン。日本の残量で世界を救えると投げかけます。
日本政府が行っている国際貢献活動について説明するグループも。興味を引くようクイズを出題する等,参加型のワークショップを展開しました。日本政府が途上国のために建設した小学校の存在を知らせ,「日本も世界のために力になっているよ。」と紹介しました。
最後は「自分たちが大人になる未来は少しでも『差』が縮まって、世界のみんなが幸せに暮らせる地球になってほしい」という願いをこめて歌いました。
曲は「Sing Forever](平井堅)。プロモーションビデオを視聴しながら,曲のもつイメージを膨らませました。子供たちが1番心を込めて歌えるようになったところは『だからこそ きみと♪』深い意味も感じ取り歌いました。
ソロ隊も登場。さわやかな笑顔と共に歌声を響かせます。
「世界はひとつに」つないだ手を上に掲げ,自分たちの未来への思いを表現しました。
いくら内容が素晴らしくても「発表会」ですから,聞き手に伝わらなければ意味がありません。子供たち一人一人は,目をいつも以上に開き,光らせ,表情をつくります。生き生きとした表情で一つ一つの台詞を叫びます。
視覚に訴えるカード。自分自身の姿もまた評価にさらされます。まっすぐ前を見据え,高々とカードを掲げます。全身全霊をかけて1枚のカードを掲げる姿がありました。
「この1枚の100円をどう思うか。」
体育館にいる日本の子供たちにとってはわずか100円。しかし,世界ではそうではないのだということを,強い意志を持った真剣な表情,まなざしで訴えます。
体育館にいる日本の子供たちにとってはわずか100円。しかし,世界ではそうではないのだということを,強い意志を持った真剣な表情,まなざしで訴えます。
ゴスペル風の「Sing Forever」に笑顔は欠かせません。子供たち一人一人の目線の先は観客を見ていません。そう,観客を通し,自身の,そして世界の未来を見つめているようでした。
「相手にわかってもらうには,全力でぶつかっていかなければならない。」
ゲストティーチャーである「月壱バンド」の皆様からいただいた言葉。まさに,これまで積み上げてきた全てを出しつくした子供たちでした。
また,新潟市が市内小学6年生を対象に行った劇団四季ミュージカル「エルコスの祈り」に触れた子供たち。
全身を使って表現を創り上げること,相手に伝える上で「表情」は内面をとてもよく表すということを学び,可能な限り今回の発表に取り入れた子供たち。
学習発表会という共通目標に向かって突き進んだ子供たち。大きな達成感を味わうとともに,互いの絆がより一層深まりました。