挨 拶     全国公立小・中学校女性校長会  会長 井口 美由紀

会長

御挨拶

  全国公立小・中学校女性校長会の令和6年度会長を拝命いたしました井口 美由紀でございます。今年1月1日に起きた能登半島地震では、石川県を中心として大きな被害を受けた学校も多くあり、未だ避難生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。被災された皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、心穏やかな日々が一日も早く戻ってくることをお祈り申し上げます。
  本会は、教育の最前線で活躍する女性校長たちが知識と経験を共有し合い、教育の質の向上と女性の地位向上、そして後進の人材育成を図りながら、長い歴史を重ねてまいりました。昭和26年約80名で本会が発足した当時は、女性校長にとって厳しい社会状況でありましたが、「同志よ 弱らないで 誠実は奇跡を生む」の言葉の下、助け合い励まし合いながら、世の信頼を得てまいりました。創設以来、引き継がれてきた思いをしっかりと受け継ぎ、さらに発展させていくべく、会長としての職務に全力で取り組んでまいります。
  昨年、感染症の扱いも変わり、学校行事はもちろん地域の行事も再開され、学校内外で子供たちが活躍する場が戻ってまいりました。また一人1台端末の活用が各校で進み、個別最適な学びと協働的な学びの両輪で、子供たちに確かな学力を育む教育活動が強く求められています。今年度も子供たちのよりよい未来のために、私達はリーダーとして高い志をもち、教育課題の解決に向けて、学校経営に邁進してまいりましょう。本会の会員数は昨年度5000人を越えましたが、地域によりその割合には大きな差があります。また今年3月にイギリスの経済誌が発表した「女性の働きやすさ」において、我が国は、OECD加盟国のうち主要29か国中27位でした。理由として「企業の管理職に占める女性の割合がおよそ15%」「衆議院の女性議員の割合が10%余り」といったことが挙げられていました。男性の育児休暇制度についても「OECDで最も寛大な制度を設けている」と評価される一方で「家にいることを選ぶ父親はほとんどいない」との厳しい指摘もありました。こうした現状を変えていくためには、目の前の子供たちにジェンダー平等に関する知識と意識を育む場としての教育の役割が最も重要です。性別に基づく役割分担等の固定観念を変えていくことこそが、女性だけでなく全ての人が働きやすい社会を実現することに繋がります。会員相互の力を合わせ、子供たちの輝かしい明日のために、共に教育現場での新たな挑戦に立ち向かってまいりましょう。
  今年は8月1日・2日に「第74回全国公立小・中学校女性校長会全国研究協議大会」が、北海道札幌市で開催されます。四方を海で囲まれ、壮大な景色と豊かな自然に恵まれた北の大地、クラーク博士が夢や希望をもって挑戦し続けることの大切さを語った土地でもあります。全国の会員の皆様方に参集していただき、協議を通して、学校経営に生かせる研修を行います。大会主題「自ら未来を切り拓き 共によりよい社会を創る日本人を育成する学校教育の推進」、副主題「確かな学びとしなやかな心を礎に 未来に向かって共に挑戦する子供を育む学校経営」の推進に向け、実行委員の皆様を中心に「オール北海道」で準備を進めてこられました。その成果を皆様と共に分かち合いたいと思っております。たくさんの会員の皆様の積極的な参加をお待ち申し上げております。
  私達の使命は、子供たち一人一人がもつ無限の可能性を信じ、それを最大限に引き出すことです。学校の組織力を高めるとともに、教育者として私達自身も絶えず学び続ける姿勢をもち、時代の変化にしなやかに対応する柔軟性をもつことが求められています。本会の活動が、皆様の学校経営、人材育成の一助となりますことを信じております。