令和5年度 全国公立小・中学校女性校長会 活動方針

全国公立小・中学校女性校長会は、結成以来義務教育の充実・発展に努めるとともに女性管理職の育成に並びに女性教員の資質の向上や活躍の場の拡大を目指し、たゆみない研究と実践を重ね、今年73年目を迎えた。その成果は我が国における女性管理職の登用と女性の社会進出に大きく寄与している。教育改革推進と男女共同参画社会の更なる促進に向けて女性校長に寄せられる期待は大きく、それに応えていくことが本会の使命である。
 今日、情報化、グローバル化、技術革新等により、子供を取り巻く環境が多様化・複雑化している。また、成人年齢引き下げにより社会的な環境の変化も生じている。これら、変化の激しい予測困難な時代を生き抜くために、我が国の教育には、自らの生涯を社会の中で生き抜き、持続可能な社会の作り手として国際的に活躍する人材の育成が求められている。全国の小・中学校においては、「令和の日本型学校教育」の考え方を基盤とし、学習指導要領の理念である「生きる力」を育む創意ある教育活動を推進するとともに、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という理念を社会と共有し、社会に開かれた教育課程の実現を通して教育成果を示すことが重要である。
 そのためには、喫緊の課題であるいじめ、不登校などの様々な問題行動への対応、情報モラルを含む規範意識の確立、特別支援教育の充実、体罰の根絶等の課題を解決する必要がある。また、頻発する甚大な自然災害発生に際し、自ら身を守り、主体的に行動する力を養う防災教育を推し進めていかなければならない。さらに児童生徒が「新しい生活様式」を身に付け、健康な生活を送るための対応力・行動力を育成することも求められる。校長は、これらの多岐にわたる課題の解決に向けて学校経営力を高め、全力を傾注し、国民の信託に応えていかなければならない。
 そこで、本年度は、本会の研究主題を「自ら未来を切り拓き 共によりよい社会を創る日本人を育成する学校教育の推進」とし、全国の公立小・中学校女性校長が、共に研鑽に励み、本会の充実・発展と活動方針の具現化に努めることを目指し、次の活動を重点とする。

1 全国公立小・中学校女性校長会の組織の強化と活動の充実

全国公立小・中学校女性校長会と各地区・各都道府県女性校長会との連携を一層密にし、組織の力を強め、活動の充実を図る。

2 自ら未来を切り拓き 共によりよい社会を創る日本人を育成する学校教育の推進

「高い志をもち、つながりを生かしてしなやかに生き抜く子供を育む学校経営」(令和5年度大会副主題)を推進する。重ねて、各地域の課題に即応して、児童生徒の「生きる力」を育てる学校経営に取り組み、教育成果を示す。

3 学習指導要領の理念を実現する創造的な教育課程の充実   

生命と人権を尊重し、「主体的・対話的で深い学び」を視点として授業改善に取り組むことにより、「基礎的・基本的な知識・技能」「課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」をバランス良く養い、「生きる力」の確実な育成を目指す。そのために、社会に開かれた教育課程を編成し、地域と学校の連携・協働を推進する。

4 「生きる力」を育むための教員の資質・能力の向上

確かな学力、豊かな心、健やかな体を育成するための指導力、GIGAスクール構想の推進のための高度な専門的知識やICT活用指導力、地域と連携・協働する力などを向上させる。そのために、研修活動の充実を図り、学び続ける教員としての意識を高め、社会から信頼され、尊敬される教員を育成する。

5 特色を生かした学校経営

校長の経営方針のもと、「チーム学校」としての学校経営の具現化を目指し、各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントの充実を図り、家庭・地域社会や学校間の連携を強化し、活力ある教育活動を推進する学校経営に取り組む。

6 学校における働き方改革の実現

これまで高い成果を挙げてきた学校教育を維持・向上させながら、持続可能なものとさせていかなくてはならない。そのため、学校組織運営の一層の効率化や人的・物的面の整備等により教員の負担軽減を図り、学校における働き方改革を推進する。

7 男女共同参画社会の促進

 一人一人が個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の促進に積極的に取り組むとともに、女性教員の活躍の場の拡大と女性管理職の育成及び登用の促進を図る。