愛される学校づくり研究会

★人間には誰にも知的好奇心があります。仕事のため、趣味のため、実益のためなど、様々な目的で我々は学びます。学校のころから勉強が好きだった人も、社会人になってから学ぶ楽しさを感じた人もあるでしょう。ここでは、その楽しさを感じることになったきっかけを振り返り、学ぶことの楽しさを教えてくれた人やことについて紹介します。

【 第18回 】どうやら私は運がいいらしい
〜株式会社EDUCOM 伊藤治紀〜

自分の人生を振り返ると、どうやら私は運がいいらしく、特に、人との出会いに恵まれていました。私の人生のよくある流れとしては、素晴らしい人に出会い、憧れ、その人のようになりたいと精一杯背伸びしてみたり、その人の助けになりたいと思い、全く知らなかった事にチャレンジしてみたり、その人を超えたいと思い、一生懸命に努力したりすることで、自分自身がいい意味で成長していったことを実感しています。

幼少期の私は、人を疑うことを知らないとても素直な子でした。
  母と一緒にお風呂に入っているときに、素直な私は「お母さん、もっと一生懸命お顔を洗ったほうがいいよ」と言いました。母が「どうして」と尋ねると、私は母のそばかすを指さして「お顔に黒いつぶつぶがついてるよ」と言ったそうです。
  母も負けじと、「これはそばかすといって、美人の証拠なのよ、わかる?お母さんみたいにそばかすがある人は美人なのよ、覚えておいてね」と美人に強いアクセントをつけて、私に擦り込みを行いました。
  その後、順調に幼稚園に入園した私は、担任の先生(そばかす美人)にめでたく初恋をし、大好きな先生に好かれたい一心で、精一杯背伸びしながら楽しく学び、目覚ましい成長を遂げたことは皆さんの想像にも難くないことと思います。

そばかすの呪縛は続き、小学校1・2年生の担任の先生もそばかす美人でした。
 当然のごとく私は、先生が大好きでしたので、その先生が食が細くて大人用の給食のご飯を残しているのを見て「僕が食べてあげるよ」と毎日先生のご飯を食べていました。
  しかし、私は当時、食道が他の子と比べて細かったそうで、本当はそんなにご飯を食べられなかったらしく、とうとうお腹を壊してしまったそうです。それでも、愛の力はすごいもので、私はその後もずっと先生のご飯を食べ続け、体質改善まで成し遂げてしまい、今の強靭な肉体と旺盛な食欲を手に入れました。
 もちろん、そんな大好きな先生の授業が嫌いなはずもなく、授業中も常に全力投球、学校も大好きで、楽しく学び、右肩上がりの成長を続けました。

3年生からは、担任の先生は男性だったので、これまでのような情熱は無かったのかもしれませんが、学校が楽しい時期は続き、特にこのころからは、スポーツに目覚め、子供会のソフトボール、クラブ活動で水泳、サッカーと男の子の王道をひた走りました。
 このペースで中・高・大学と話を進めていくと、長編小説となってしまいますので、勉強が好きになれない私が勉強と向き合い、時に挫折し、時に逃げ出したエキサイティングなお話はざっくり割愛しますが、学生生活においても節目、節目に素晴らしい出会いがあり、みなさんいろんな視点から私に学ぶことの大切さを教えてくれました。

最後に、社会人となった私が、学ぶことの楽しさや意味(価値)を知ったお話しで終わりたいと思います。
 これまでも人との出会いが私の人生を変えてきましたが、この会社に就職を決めたのも、この会社でアルバイトしていた時に出会った社長(今の会長)の人柄に男惚れし、「この人のようになりたい!いつかこの人を超えたい!」と強く思ったことがきっかけでした。

新人の私はとある地区のとある教頭先生と出会い、本当にいろいろと教えていただきました。その先生が、新しい学校に校長先生として赴任された直後、私は学校に呼び出され、唐突に「学校のホームページを何とかしたいんだよね。ブログって知ってる?」と話されると、私が「はい」と答えるか答えないかのうちに、初めて校長先生になられて、学校をよりよくしていきたいんだという熱い思いや、ホームページを通して地域とつながっていきたいという思い、でも先生方の負担も最小限にしたいなど、まさに怒涛の勢いで思いを語っていただきました。
 私は特に「作ります」とは返事していないのですが、「でね、作ってほしいのはこんな感じでと思ってるんだけど、どう思う?」なんて聞かれてしまうと、「ここはこうしたらどうですか?」「いいね〜」「では、ここはこんな感じで…」という具合に盛り上がってしまい、これはもう自分が作るしかないな、と熱い思いに共感しながら徐々に覚悟していったのを今でも鮮明に覚えています。
 当時、新人だった私はもちろんこれらのシステムを作る知識があったわけではなかったので、それこそ必死に勉強して、調べて何とか形にして行きました。
 「できました!」と持って行った時に、本当に喜んでくれたことはもちろんうれしかったのですが、その後、その先生のその学校の取り組みが広く評価され、ユーザーが増え、正式に製品化され、今では本当に多くの学校で使ってもらっているうちの主力製品の一つとなっていく過程は、喜びの連続であり、自分の自信につながっただけでなく、仕事のやりがいそのものでした。

私にとって「学ぶことは、自信ややりがいにつながり、喜びの連続である」ということに気づかせてくれた、とある先生との出会いに本当に感謝しています。

 もちろん、そばかすにも・・・

(2016年1月25日)

学ぶ楽しさ

●伊藤 治紀
(いとう・はるき)

静岡県浜松市(旧浜北市)出身。1978年生まれ。学生時代にEDUWEL(現EDUCOM)でアルバイトをし、そのまま就職。以来、サポート、開発、営業すべての部署を渡り歩き、「ニーズを聞いたらつくる → つくったら売る → 売ったらきっちりサポートする」のサイクルを全て経験。現在はCS部として、教育ネットワークの設計、構築、運用管理、全国の校務支援システムの運用提案に従事。EDUCOMがITと教育で元気な学校づくりを応援するためには、いったい自分は「何ができるのか、何がしたいのか」を結構本気で考えるお年頃である。