★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。
【 第3回 】教育について保護者に話す機会
―保護者に鍛えられている校長―
校長として保護者の前で話す機会はどれほどあるでしょうか。
本校では、PTA全委員会と学校公開日の折に、20分から30分ほど、保護者に学校教育に関わることを話しています。「校長先生の学校のことがよくわかる話」というタイトルをつけてもらいました。年間では10回ほどになります。
PTA役員には、こう言われています。「小牧中は『鍛える 学び合う学び』をテーマとしている学校なのですから、私たちが校長先生を鍛えてあげますよ(笑)」と。このようなことをPTAから言っていただける関係になっていることを誇らしく思っていますが、いつも話の内容を決めるまでに悩みます。ちょっとした時間があると、ネタ探しをしている自分がいますので、いつも宿題を抱えている生徒の気分です。確かに鍛えられています。
しかし、いつも意識しているおかげか、おおむね好評で、校長の話を楽しみに来校される方もあると伺い、嬉しい限りです。
校長先生方が私と同じ境遇に置かれた場合の参考に、これまでの話材を紹介しておきましょう。
学習指導要領の教科時間数の変遷について
保護者自身が中学生であったころの学習指導要領の教科別時間数と、いわゆる「ゆとり教育」といわれたときの学習指導要領の時間数、そして現在の時間数を一覧にして配付しました。
そもそも学習指導要領とは何かに始まり、時代によって授業時間数がいかに異なっているかを伝えました。例えば、昭和52年の学習指導要領では、中学校理科は週4時間の設定でしたが、ゆとり時代は週2時間ほどとなりました。現在は週4時間となっていることを示し、「これだけ時間数が異なってくると、本当の学力って何なのだろうかと思いませんか」と投げかけました。
教科も時間数の違いがかなりあることを知らせましたので、驚きの表情が読み取れました。
全国学力・学習状況調査について
某知事の調査に関する発言が物議を呼んでいたときには、全国学力・学習状況調査について話をしました。調査の目的や大騒ぎするほど学力格差は生じていないこと、数学B問題の一部を提示して、調査しようとしている学力内容などについて触れました。PTA役員からは、「マスコミは「順位」について騒ぎたてますが、そこにだけ気を取られずに、国が子どもに求めている学力について、成果があがっているのかどうか、という見方ができる保護者になりたいものですね」という感想が届きました。
「学び合う学び」について
小牧市教委が授業の基本としている「学び合う学び」について話しました。コの字型の机配置や4人で相談し合う意図など、授業時に大切にしていることを、丁寧に話しました。保護者が受けてきた授業形態とは異なっていることもあり、少しでも授業について理解していただこうというねらいがあってのことです。
(2013年11月4日)