★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。
【 第17回 】「教育と笑いの会」大成功
―裏話をご紹介―
8月16日、「第1回教育と笑いの会」が無事終わった。企画者・登壇者だからこそ書くことができる裏話を書いておきたい。
会の1週間ほど前、登壇者の一人である志水廣先生から電話があった。
「玉置さん、僕の講演は『笑いで包む人生論』というタイトルだよね。何を話したらいいの」という質問だった。昨年の大みそかに会の主旨を説明して快諾いただいていたので、びっくりした。あらためて考えてみると、演題は相談せずに決めて周知してしまっていたし、「詳しくは後日」と約束していたことを思い出した。
志水先生に願ったのは、吉本風味の人生論を語っていただくことだ。小学校教員を長年経験され、現在、教師教育に尽力されている志水先生の人生論であれば、教育から外れるわけはない。あの無理矢理でも笑わせようとするギャグ付きであれば、皆さん満足されるに違いないと考えたのだ。
志水先生は秘策を練られていたようで、音響のことをあれこれ聞かれた。登場の際に流れたあの音楽、そして「ヒロシです」は、すでに入念に準備されていたのだと、大爆笑をしながらあのときの電話を振り返っていた。
野口芳宏先生は、前夜に電話をいただいた。明日の確認の電話だ。確認と言っても、その内容が凄い。
「玉置さん、何を話したらいいの」だ。言い出ししっぺの野口先生からまさかこんなことを聞かれるとは思ってもみなかった。よく聞いてみると、すでにいくつかの話材は用意されていることがわかった。継続的な会にするためには、この中で、どのような話が良いと思うかという相談だった。野口先生に意見を述べることは僭越なことだが、なぜこの会を思いつかれたのかということ、そして教育が委縮していると言っておられた理由を話していただきたいと伝えた。
自分は「教育落語」と演題を出していたものの、その内容は決まらず、野口先生に「私も迷っているのです」と伝えて相談しようとしたが、「それは、あなたが決めたことなんだから」と一笑された。
教師は落語を聴くべきだと言われていても、なかなか聞く機会がない。これがプロの落語だというものを聞いてもらいたいという思いで出演依頼をしたのが桂雀太さんだ。見事に応えていただいた。さらに私が願ったのは、授業と落語の共通点と違いを鮮明にしたいということだ。これもシンポジウムの中で、明確にすることができた。その詳細については、木曽川中学校の平林校長先生が学校HPで書かれているので、そちらを参照していただきたい。
野口先生は「玉置さんが真に受けたのでこの会が成立した」と言われた。確かにそのとおりだ。それにしても反響は凄い。皆さんに、こういう会も必要だと後押ししていただいたと思っている。
ところで、参加された校長先生方は気づかれただろうか。野口さんも志水さんも雀太さんも、そして私も数々のテクニックを使って話を展開していたことを。校長として話術を磨くことに躊躇してはいけない。小噺一つでよい。思い出して、どこかで披露するとよい。話し手の間が最重要だということが体感できることだろう。
(2014年8月20日)