★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。
【 第11回 】角田明先生の学校診断1
―教職員の学びを豊かにするのは校長の仕事―
前回紹介した角田明先生にお願いをした学校診断の内容を数回にわけて紹介したいと思います。
次は2013年2月来校時の角田先生のスケジュールです。
夕方、名古屋に迎えに上がる。小牧に到着。夕食は、教頭と2年目の教員2名とともにとっていただく。
〇 二日目
8時学校到着。職員打ち合わせでご挨拶(ご指導)いただく。
2・3時間目 2年目の教員(夕食を一緒した者)の授業観察後、指導を受ける。
入学説明会で保護者に「中学生を持つ親の資格」と題して講演いただく。他の時間は、自由に学校参観をしていただき、気づかれた点を管理職に話していただく。
私がこのスケジュールをお願いしたわけは様々あります。
教頭と2人の教員とともに夕食の会を設定したのは、まずは教頭に角田先生の「人となり」を知らせたいという願いがあったからです。教頭はいずれ校長として学校経営のトップになります。自身が経営責任者となったときの考えはしっかり持っている教頭ですが、角田先生のような校長も現実におられたのだということをぜひとも伝えたいと考えたのです。前回のコラムで書いたように、角田先生は、これまでに出会ったことがない校長でした。自身が角田先生との出会いで得た学びは、少なからず学校経営に反映しています。
私は幸運にも地域の学校関係者だけではなく、広く様々な方と恵まれたネットワークを結ばせていただいています。教職員にぜひとも会わせたいと思う方は多数います。教職員の学びを豊かにするのは、校長の仕事の一つです。そのために外部の方の力を借りることに躊躇することはありません。
今年は、角田先生との夕食会を数人の市内校長と持ちました。主旨は同様です。角田先生は、小牧市内で10年ほど前から取り組んでいる「学び合う学び」の授業を全国でいち早く現場で実現した方です。その当時、東京大学におられた佐藤学先生を学校現場に引っ張ってきた方です。佐藤先生には何度も小牧で指導をいただいています。なぜ、いわゆる「学びの共同体」を学校現場で行おうとされたのかを自分一人ではなく、市内校長らでお聞きすることで、小牧の歩みを確かめ、さらなるステップアップになると考えたからです。
翌日、授業を見てもらう教員を同席させたのにも、当然、理由はあります。「授業前夜まで授業準備をするようなことはしない。余裕をもってせよ」という校長・教頭からの指導の一貫です。この指導はどうも効果はなかったようで、夕食後に学校に戻り、準備をしたようでした。もう一つの理由は、事前に授業者の人柄を知らせることでした。角田先生は、その教員がより伸びる方向で指導をいただけるからです。(続く)
(2014年3月3日)