★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第11回 】「友だち先生」の落とし穴
◆「若さ」は武器
学校には、若い先生が増えています。
団塊の世代の大量退職で、若い先生の採用が増えているのだと思いますが、少子化の影響もあり、これまで新規採用が抑えられてきたこともあって、30代後半から40代の先生がとても少ないそうです。
組織としては、「中堅」と呼ばれる世代が少ないので、上部と下部が大きく、真ん中が小さい、砂時計のような、少しいびつな形になっています。
このような形の組織では、世代間のコミュニケーションを取ることが難しく、風通しのよい環境を作るのはたいへんです。これまで以上に、密接なコミュニケーションが必要ですね。
若い先生は、元気いっぱいです。
経験が少ない分、やることすべてが新鮮に思えて、楽しみながら取り組んでいけます。
もちろん、苦しいことの方が多いでしょうが、体力もありますし、多少の無理もききますからがんばれるでしょう。
「若い」ということは、それだけで武器になります。
失敗しても「若いから仕方ないね。次につなげてくれればいいよ」という温かい目で見てもらえます。
ですから、若い先生方は、その強みを活かして、失敗を恐れず、どんどんチャレンジしていってほしいと思います。
◆「友だち先生」は良い先生?
若い先生は、子どもたちと年齢が近い分、子どもたちの気持ちをわかってあげやすいかもしれませんね。
若さをフル活用して、子どもたちと一緒に遊んだりして、子どもとの距離を縮めようとしています。
子どもたちと積極的にコミュニケーションを取ることは、とても良いことだと思います。
とくに小さな子どもたちは、一緒に遊んでくれる若い先生が大好きです。
「若い」というだけで子どもに好かれるなんて、本当に幸せなことですね。
若い先生方は、子どもたちとの距離を縮めようとする気持ちから、子どもたちに「友だち」と思ってもらえるように、仲良くしようとしているように見えます。
そんな先生方の姿は、「友だち先生」として、保護者の目にも微笑ましく映ります。
友だちなら、悩みごとも相談しやすいかもしれません。
でも、学校では集団生活を送っているわけですから、守らなければならないルールがたくさんあります。
それらのルールを守らせるためには、ときには厳しさも必要ですね。
「友だち先生」と子どもたちの関係では、楽しさと厳しさのメリハリがついていないように感じています。
厳しい指導が必要な場面で、子どもたちは真剣に先生の話が聞ける態度を取れているでしょうか?
「友だち」の延長線上にいる先生の指導が、きちんと子どもに届いているでしょうか?
子どもたちの様子を見ていて、気になることがあります。
それは、先生に対して「タメ口」で話していることです。
ガチガチの敬語で話さなければならない、ということではありませんが、あまりにも友だち感覚で、緊張感のない様子を見ていると、「他の先生にもこうなのだろうか」「よその大人にもこうなのだろうか」と心配になります。
これは、家庭でのしつけの問題でもあるのですが、普段からできないことは、本当に必要な時に、急にできるようにはなりません。
◆「一目置かれる先生」になってください
やはり先生は、年長者として「一目置かれる存在」であるべきです。
「友だち先生」では、子どもと同列に扱われてしまいます。
子どもと同列では、いざという時に頼りにされないかもしれませんし、真剣に取り組まなければならないときに、先生の指示に従ってもらえないかもしれません。
子どもと仲良くすることは良いことだと思いますが、そこに「尊敬」が含まれるべきだと思うのです。
親しみを込めて、普段は「タメ口」でもかまいませんが、TPOをわきまえた態度で接することができるように、先生は子どもに一線を引かせるべきです。
しかし、「尊敬」がなければ、それは難しいと思うのです。
「友だち先生」は、実は子どもになめられる危険があること、問題が起きた場合に求心力を発揮できない可能性があることを、若い先生方にはとくに意識をしていただきたいですね。
だからといって厳しくすればよい、ということではなく、難しいことかもしれませんが、上下の関係は保ちつつ、フランクに付き合える関係が、先生と子どもの間で築けるといいですね。
(2014年2月10日)