愛される学校づくり研究会

★新教育コラム「出会いこそが教師をつくる」開始にあたって

 だれしも、教師人生に変化をもたらした、心に残る出会い(人、物、出来事など)があるといいます。このコラムでは、その出会いについてリレー方式で語っていただきます。

【第3回】「人とのつながり」で価値ある出会いを大切にする
〜大府市立大府中学校 近藤肖匡〜

大学4年生の教育実習。私は愛知教育大学附属名古屋中学校で2週間行いました。
 その当時の数学科教官は4名。今でもその先生方とのつながりがあります。とりわけつながりがあるのは、玉置崇先生です。
 実習3日目に、私たち実習生の間に「玉置先生の数学の授業は、まさにライブ。おもしろいよ。」という情報が流れました。
 さっそく「先生の授業を見せていただきたいのですが」とお願いに上がりました。「それでは次の時間の1年生の数学授業を見てもいいよ」と快諾してくださいました。

単元「文字の式」の導入です。正三角形を1,000個つくるのに、棒磁石は何本必要ですかという問題です。どのように考えていくと、より分かりやすいかを全員で考えていた時です。ある子から「パンツをはかせて考えるとよくわかる」という数学的な考え方とは思えないような意見が飛び出しました。


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玉置先生はその意見をどのようにされるのかと思っていると、「パンツをはかせるなんて、思っても見なかった良い発想しているね、○○くん。」とその子の発言を大いに価値付けをされたのです。大胆な子どもの発想はもとより、子どもの発言をつなぎ、その表現を数学の舞台にのせてしまう授業は、ライブそのものでした。自分が中学校の時に受けた授業と大きく違って、授業は子どもとのやりとりを大切にするコミュニケーションの場だと感じました。

そんな教育実習も最後日がやってきました。
 数学教官室に、それぞれご指導をいただいた先生にお礼を言いました。最後にお礼を言った先生は、玉置先生でした。
 「君、ここに腰掛けて。」
 「私は、これからの君に注文したいことがある。それは、先生になる前にぜひ向山洋一先生の実践と、斎藤喜博先生の実践はぜひ読んでもらいたい。教員になるには厳しい時代だからこそ、多くの実践に触れてほしい。」
 そう熱く語ってくださいました。
 「こうやって、君に出会えたのも何かの縁。どこかでまた会えるとよいですね。」
とにこやかに微笑んでくださいました。

それから、私の玉置先生の追っかけが始まりました。
 小牧中学校での研究発表、GC授業発表会、学習工学研究会セミナー、大阪での教育セミナーなど、玉置先生が講師として招かれるものに身銭を切って参加させていただきました。常に時代の最先端を走る玉置先生は雲の上の存在でした。
 そんなある日、玉置先生からメールが届きました。
 「学校評価研究会(現:愛される学校づくり研究会)という自主研究会があります。参加してみませんか。」
 涙が止まりませんでした。嬉しすぎて。でも、質の高すぎる研究会に今、ついていくのに必死ですが・・・。

このメールを機に、愛される学校づくり研究会のみなさんとのつながりから、多くの人々のつながりができています。時に厳しい意見に心が潰されそうにもなりますが、人とのつながりは大切にしたいものです。

(2012年3月26日)

出会いこそが教師をつくる

●近藤 肖匡
(こんどう・ゆきまさ)

平成8年に教職をスタート。中学校で15年勤務。現在は大府市立大府中学校でホームページ担当。現職主任。専門は数学。「生徒が、そして学校が元気になる」仕掛けづくりを奮闘中。平成17年に文部科学省で研修してから、ユニバーサルデザインを意識した授業づくりに目覚めた。特別支援教育に関わる著書もいくつか手がけている。